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シャーウッド・アンダスン ワインズバーグ・オハイオ


 年末年始でなかなか読み進めず時間がかかったが、今年最初の本のレヴューは、米国の作家シャーウッド・アンダスンが1919年に発表した、彼の代表作「ワインズバーグ・オハイオ」。題名の通り、オハイオ州のワインズバーグという架空の町を舞台に、そこに暮らす人々を描いた短編集である。

 とは言っても、従来の短編集とは趣が違う。25の短編が連なる連作短編集のように見えるのだが、連作短編集というには、それぞれの短編に直接の繋がりがやや薄いような気がする。かなりたくさんのエピソードにジョージ・ウイラードという新聞記者志望の少年が登場するが、全く彼とは関係ないところでのエピソードもあり、それぞれの短編はこの作品ならではの独特の距離感を持っている。
 今ではこういう「それぞれの作品の直接の繋がりが薄い」連作短編集というのは結構あるような気もするのだが、この頃ではかなり斬新だったかもしれない。
 それぞれの短編は平均12~3ページと短く、読みにくいことはないのだが、この作品には独特の間があってそれに慣れないとペースがつかみにくい。当然登場人物が会話をするシーンが多くあるのだが、そのほとんどが1対1での会話で、3人以上が集まって会話をしているシーンがほとんど(いやひょっとして全く)ない。それでいてあちこちに顔を出す登場人物もいて人の名前がちっとも覚えられない私は読むのに難儀した。

 農場主一家の3代にわたる物語を4つの連作短編にしてまとめた「信仰」4部作とか、恋人に去られ婚期を逃しつつある女性のある日の行動を描いた「冒険」のような、すでに人生に失敗した老人や老嬢を描いたものと、ジョージの友人にして恋敵のセスを描いた「内省的な青年」などの若者を描いたものに大別されるが、それぞれの登場人物の心の中に潜む衝動や後悔や、あるいは絶望をあぶりだしていく、かなり暗い印象の作品である。人生に失敗した老人を描いても、決して憐憫に陥らず、醒めた目で彼らを描いていて、そういう視点がさらにこの作品を薄暗く見せる。このリアリスティックな描き方が、後のフォークナーあたりに直接影響を与えたと言われるが、それも頷けるところだ。
 ジョージと彼の思い人・へレンとの仲も、ちっとも進展しなくてもどかしい。

 この作品、たしかに全体に暗い印象があるのだけど、読後感は悪くない。ジョージが町から旅立つラストが、普遍的な、故郷から都会へ出て行く若者の希望を感じさせるからだろうか。それにしてもジョージ、ヘレンとやっと心が通じたかと思ったら、彼女を置いて町を出て行ってしまうなんて。青春というやつは罪作りだ。
.10 2009 北米文学 comment2 trackback0

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今年もお邪魔いたします。
「街の博物誌」河野典生、「都市」シマック、「夢見通りの人々」宮本輝などオムニバス形式というものが好きで、元祖とも言うべき物らしい「ワインズバーグ・オハイオ」を私も大分前に読みました。
良く分からなくて半分くらいで投げちゃいましたが(笑

私は今年、ノーベル賞作家を通して文学の風景を見てやろうと、早速ゴールズワージー、ショーロホフ、クッツェー、クンデラなどを買い込んで準備だけは取り合えずといったところです。
速読(?)できるpiaaさんがうらやましい。
大長編制覇頑張ってください。

2009.01.12 22:13 | URL | ojyamasimasu #- [edit]
ojyamasimasuさん、今年もよろしくお願いします。

「ワインズバーグ・オハイオ」は、記事にも書いたようにペースをつかまないとやや読みにくいかもしれません。また気が向いたら挑戦してみてください。

>ノーベル賞作家を通して文学の風景を見てやろう

いいですね~。ノーベル賞作家って意外と読んでなかったりしますからね。私にとってもショーロホフやクッツェーはそのうちにぜひ読みたい作家です。
2009.01.13 01:12 | URL | piaa #- [edit]

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