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丸山勇 カラー版・ブッダの旅


 「聖☆おにいさん」を読んで以来我が家は仏教ブーム。手塚治虫の「ブッダ」も改めて読んでみたが、これはコミックとしては素晴らしい傑作だが、ブッダの伝記としてはかなり手塚の独自のアレンジがなされていて、お世辞にも正確なものとはいえない。
 そこでなにか、ちゃんとしたものを読んでおこうと思って読んでみた。

 とはいってもこれは堅苦しいブッダの伝記とか評伝と言ったものではなく、写真家の著者がインドの、ブッダゆかりの地を旅して撮影してきた写真で綴ったブッダ入門書と言ったスタンスの本である。
 ユダヤ教と言うものがあって、それを下敷きにキリスト教ができたのと同じように、仏教はヒンドゥー教をベースにして作られている。まずそこからスタートする本書は、カピラヴァストゥの王子シッダールタが出家し悟りをひらき、ブッダと呼ばれるようになって宗教の一大勢力となる、その舞台を写真で追う。ブッダの出生の地、ルンビニーはわかっているのに、若きシッダールタが住んだカピラヴァストゥがどこだったのか特定できず、ふたつの候補地が遺跡として残っていたり、マカダ国の王宮があったとされるところが、何もない砂漠だったり、2500年の年月は容赦なく形あるのものを滅していく。これらの美しい写真に諸行無常という言葉を連想する。
 巻末には解説として前田専学氏の「ゴータマ・ブッダ-その人と思想」を併録。これは短いながらもブッダの教えを端的に要約したもので、ブッダ入門者にはとても貴重な小文である。

 さてカピラヴァストゥの王子シッダールタは妻ヤショダラとの間に長男ラーフラをもうけ、裕福で幸福な生活を送っていたのだが、ある日突然出家してしまう。もちろん四門出遊の故事が語るように、彼本人の心の中には大変な葛藤があったのだろうが、妻や息子、あるいは王である父の驚きはいかばかりだったろうか。このブッダの行動、最近似たような話を読んだと思ったら、「楽園への道」「月と六ペンス」で描かれた画家ゴーギャンと同じだ。
ブッダもゴーギャンも、本人にしかわからない、やむにやまれぬ動機があったからこそ生活や富を捨て、極貧の修行生活へ入っていったのだろう。人間はそのくらいの覚悟がなければ偉大にはなれないということなのだろうか。だとすると私なんかは絶対に偉大にはなれそうにないな。

 ・・・さて、お知らせです。我が家では原始仏教調査のために22日より5日間、次女MINMINをタイ・アユタヤ遺跡に派遣いたします。ってうちの実家の父と母の旅行にくっついていくだけなんですけどね。
面白い写真でも撮ってきたら紹介します。
…私も行きたかった…
.20 2008 その他の本・非文学 comment0 trackback0

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