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ジャン・フィリップ・トゥーサン 浴室


 (1)フランスで1985年に突如バカ売れした、バスタブで暮らすことにした男の物語だ。バスタブの中で生活するというアイディアがわが国の、箱をかぶって生活する男を描いた安部公房「箱男」を髣髴とさせるが、中身はだいぶ違うようでもある。

 (2)それにしてもどうしてフランスってこんなヘンなのが売れるんだろう。これまでに読んだものでもジャリ「超男性」とかドーマル「類推の山」とか、シュールな作品が多い。

 (3)この作品も徹底的にシュールだ。3つの部分に分かれたこの作品は、それぞれの章の、それぞれの段落に番号が振られている。

 (4)安部公房の「箱男」と全く違うのは、「箱男」がどちらかというと社会生活不適合者…今で言うとひきこもりとかニートに近く、彼は自分を守る鎧として「箱」を纏っている。いわば「箱」という閉ざされたモノは彼の、外界への精神的な壁であり、性的不能の象徴であったわけだが、それに対して「バスタブ」は全く外に開かれており、ただ主人公にとって居心地のいい場所にすぎない。だからこの主人公はガールフレンドとセックスもするし、タコを料理するのを見物したりするし、はてはイタリアまでふらりと旅行に出かけたりするのだ。

 (5)いきなり冒頭に掲げられたエピグラフにも驚かされる。「直角三角形の斜辺の二乗は他の二辺の二乗の和に等しい。 ピタゴラス」ってなんだそれ!で、第1章と第3章に「パリ」と題し、第2章には「直角三角形の斜辺」と題してしまうのだから唖然とする。

 (6)まあ要するに第1章と第3章を直角に交わる辺と見做し、主人公がイタリアに出かける第2章を斜辺と見做したと言う所なのだろうが、そのわりには第3章、「パリ」と題されているわりにはそのほとんどはイタリアでの話だったりするわけで、構成としてはそんなに数学的なほどきっちりしているわけではない。

 (7)それで、肝心の主人公は意外とまともで健全な引きこもりだ。すくなくとも「箱男」みたいなどうしようもない男ではないし、彼女のエドモンドソンも、名前がヘンなことを除けばしごくまとも。ストーリーはたいしたことないし、大して特別なことは起こらない。タコ料理のくだり、テニスのくだりなど全く意味不明。うーん、シュールだ。しかも最後に冒頭の方に戻っちゃう仕掛けで、この作品は果てしない無限ループへと読者を誘っていくのだ。

 (8)こういう作品がバカ売れしちゃうフランスという国、そりゃあハルキ・ムラカミなんか喜ばれるわけだ、と妙に納得なんかしてしまう。それにしてもどうしてフランスってこんなヘンなのが売れるんだろう。これまでに読んだものでもジャリ「超男性」とかドーマル「類推の山」とか、シュールな作品が多い。

 (9)この作品も徹底的にシュールだ。3つの部分に分かれたこの作品は、それぞれの章の、それぞれの段落に番号が振られている。ちょうどこのレヴューのように。
.16 2008 フランス文学 comment(-) trackback(-)

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