エコール
Innocence 2004 ベルギー・仏
監督:ルシール・アザリロヴィック
出演:ゾエ・オークレール、ベランジェール・オーブルージュ
昨日からEURO疲れが出たかのどが痛くて風邪気味。そんなんで何もする気にならず、HDDレコーダーに録りっぱなしだった映画を観る。これは女性監督による、少女達の寄宿学校での生活を描いた映画…というとすごく普通っぽいが、相当ヘンな映画だ。さらには上に掲げたDVDジャケットのデザインを見るとどう見てもロリコン映画みたいに見えてしまうが…
原題は「イノセンス」。「無垢」という意味である。なぜ「学校」を意味する「エコール」という邦題にわざわざ変更したのかは不明。
ここで描かれる「学校」は、いわゆる「寄宿学校」で、6~7歳から12~13歳までの少女が各年齢5人程度住み込んでおもにバレエのレッスンを受けているのだが、少女達は自分たちがなぜここにいるのかすらわからず、まるで軟禁されているような感じなのだ。
タイトルの後の冒頭でまるでゲームソフト「ミスト」みたいに視点が動いていって、一つの部屋にたどり着くと棺が置かれていて、その棺を少女たちが取り囲むと、棺の中からイリスという少女が半裸で現れる。彼女は「弟はどこ」とか「おうちに帰りたい」と言うが年長の少女たちは「ここが家よ」としか答えない。
イリスは年長のビアンカになつくが、最年長の少女は夜になるとどこかに出かけていく。
以下たんたんと「学校」の日常が描かれるが、この「学校」、謎ばかりである。バレエのレッスン以外は生物についての授業しか描かれていない。教師もバレエと生物の教師しか現れないので他の科目があるかどうかは判断できない。外に出ることは一切許されず、外部から人が来る事も「校長先生」以外には全くない。イリスと同じ歳の少女ローラは湖のボートで脱出を試みるが、ボートが浸水して溺死してしまう。ここの描写の恐ろしい事!ローラは靴が濡れだしてボートが浸水している事に気づくが、幼さゆえか何が起こったか理解できず、恐怖の叫び声すら上げないまま水に沈んでしまうのだ。
こういったエピソードがぽつりぽつり描かれ、やがて1年が巡り、ビアンカが「学校」を出て行く時がやってくる…
先ほど私はこの映画の冒頭部分をゲーム「ミスト」に喩えたが、全体にもあのゲームにも負けない謎がちりばめられている。ただゲームと違って答えがない。例えば少女達は、規則に逆らうと罰を受けると言うが、ではその罰とは?教師がもと生徒で、その罰として一生ここに残らされているとか、少女達の妄想は果てしないが、その妄想は本当に事実無根なのか?
さらにイリスはどうやってここへやってきたのか?親が預けたのか?それとも何か犯罪的ななにかが…?とか、この映画にはそういった疑問への回答は全くない。
で、まあそういった深読み要素はヨーロッパ芸術的映画なら普通にあるとして…ビアンカの全裸が映るシーン(ボカシが入る)もあり、これって児童ポルノに近くないか?少なくとも世のロリコンどもは大喜びしそうな映画ではないか? 女性監督がこういう映画を「芸術」の美名の下に撮っちゃうというのは、どうなのだろうか。
ラストで、町に出たビアンカが靴を脱いで噴水のなかに入り、噴水に飛び込んだボールを追ってきた少年と視線を交わすシーンの恐ろしくエロティックな事。噴水自体セックスの隠喩である事は明白だし、「学校」を出たビアンカはもはや「無垢」ではないということだろうか。
全体には不気味で、怖い映画という印象が残った。不条理なヨーロッパ映画好きな人向け。
ここで描かれる「学校」は、いわゆる「寄宿学校」で、6~7歳から12~13歳までの少女が各年齢5人程度住み込んでおもにバレエのレッスンを受けているのだが、少女達は自分たちがなぜここにいるのかすらわからず、まるで軟禁されているような感じなのだ。
タイトルの後の冒頭でまるでゲームソフト「ミスト」みたいに視点が動いていって、一つの部屋にたどり着くと棺が置かれていて、その棺を少女たちが取り囲むと、棺の中からイリスという少女が半裸で現れる。彼女は「弟はどこ」とか「おうちに帰りたい」と言うが年長の少女たちは「ここが家よ」としか答えない。
イリスは年長のビアンカになつくが、最年長の少女は夜になるとどこかに出かけていく。
以下たんたんと「学校」の日常が描かれるが、この「学校」、謎ばかりである。バレエのレッスン以外は生物についての授業しか描かれていない。教師もバレエと生物の教師しか現れないので他の科目があるかどうかは判断できない。外に出ることは一切許されず、外部から人が来る事も「校長先生」以外には全くない。イリスと同じ歳の少女ローラは湖のボートで脱出を試みるが、ボートが浸水して溺死してしまう。ここの描写の恐ろしい事!ローラは靴が濡れだしてボートが浸水している事に気づくが、幼さゆえか何が起こったか理解できず、恐怖の叫び声すら上げないまま水に沈んでしまうのだ。
こういったエピソードがぽつりぽつり描かれ、やがて1年が巡り、ビアンカが「学校」を出て行く時がやってくる…
先ほど私はこの映画の冒頭部分をゲーム「ミスト」に喩えたが、全体にもあのゲームにも負けない謎がちりばめられている。ただゲームと違って答えがない。例えば少女達は、規則に逆らうと罰を受けると言うが、ではその罰とは?教師がもと生徒で、その罰として一生ここに残らされているとか、少女達の妄想は果てしないが、その妄想は本当に事実無根なのか?
さらにイリスはどうやってここへやってきたのか?親が預けたのか?それとも何か犯罪的ななにかが…?とか、この映画にはそういった疑問への回答は全くない。
で、まあそういった深読み要素はヨーロッパ芸術的映画なら普通にあるとして…ビアンカの全裸が映るシーン(ボカシが入る)もあり、これって児童ポルノに近くないか?少なくとも世のロリコンどもは大喜びしそうな映画ではないか? 女性監督がこういう映画を「芸術」の美名の下に撮っちゃうというのは、どうなのだろうか。
ラストで、町に出たビアンカが靴を脱いで噴水のなかに入り、噴水に飛び込んだボールを追ってきた少年と視線を交わすシーンの恐ろしくエロティックな事。噴水自体セックスの隠喩である事は明白だし、「学校」を出たビアンカはもはや「無垢」ではないということだろうか。
全体には不気味で、怖い映画という印象が残った。不条理なヨーロッパ映画好きな人向け。