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川端康成 雪国


 今年は日本文学を読むぞ!と宣言しておきながら、何を読んだらいいのかわからず、結局先月は海外文学ばかり読んでしまった。なにか日本人の書いた奴を読もう、と思って本棚をあさったら、これを発見。ノーベル賞作家川端の代表作中の代表作だ。

 『国境の長いトンネルを抜けると雪国であった。夜の底が白くなった。』という冒頭はあまりにも有名だが、この一文には川端文学の美しさが凝縮されているのではないだろうか。『国境の長いトンネルを抜けると雪国であった』という鮮烈で映像的な文章のあとに、『夜の底が白くなった』という静謐な文章が来て鋭い対比を見せる。
 この冒頭に象徴されるように美しい文章が連綿と連なる奇跡のような小説である。
 この作品は基本的には雪国の温泉場に逗留する島村という男を語り手に、彼と情を通じた芸者の駒子や村に住む娘葉子との関係をスローに描くだけのストーリーしか持たない。妻子を持つ島村と駒子の愛は決して実る事はなく、いつか儚く消えるさだめにある。読者は島村の目で駒子や葉子を見ている事になり、読み進むうちに島村は、解説にもあるようにだんだん「透明な存在」になっていく。

 葉子のエピソードは、この小説では後ろに隠れているが、実はメインのストーリーに据えてもよさそうなもので、葉子は行男という男を愛し、行男が死んでからもその愛の炎は消えず、だんだん葉子は狂気に侵されて行く。そのさまをこの小説は島村が駒子から聞いた話だけで描く。しかも駒子は行男の許婚だったという説もあって(駒子は否定する)、駒子が葉子について話す内容には独得のフィルターがかかっている。そういう微妙な遠近感とそれに伴う物語の「ぼかし」とでも言うのか、そのあたりの絶妙さはまさに名人芸的な小説だ。
 川端らしいエロさもすこしだけ。「指が君を覚えていたよ」とか、なかなかエロい。

 そしてラスト。火事が起こり、島村と駒子は現場へと駆けつける。その上空の夜空には美しい天の川が。やがて火事場から葉子を救い出そうとするシーンで幕となるが、そのシーンの火事場でざわついているはずなのに、天の川の描写などを描きこむ事によって駒子の、葉子の、そして島村3人の孤独を浮き彫りにする。見事だ。

 こうやって改めて読んでみると、世界中で有名作家達に愛され、高い評価を受けるのも当然だと思う。こんな素晴らしい小説をもっと若い人にも読んでもらいたいと思う。まあちょっと古い作品だし、とっつきにくいとは思うが、美しい日本語にどっぷり浸かるのもたまにはいいのでは。
.07 2008 日本文学 comment0 trackback0

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