スポンサーサイト

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。
.-- -- スポンサー広告 comment(-) trackback(-)

E.T.A. ホフマン 黄金の壷


 エルンスト・テオドール・アマデウス・ホフマンは19世紀初頭に活躍したドイツの詩人・作家。
幻想的な作風で知られ、「砂男」「クレスペル顧問官」などを含む「ホフマン短編集」(岩波文庫)は非常に人気がある。私も以前この短編集を読んだことがあって、それで手にとった。

 現在は廃刊で、私が手に入れた本はカヴァーなしの岩波文庫というなかなかの時代物。この「黄金の壷」は200ページ弱の長編で、大学生アンゼルムスが主人公なのだが、このアンゼルムスという男がかなりのマヌケ野郎で、なにか重要な時に限って失敗ばかりしている。そんなある日、大学の教授達と遊びに行こうとしている彼の前に美しい金緑色の蛇が現れ、彼はこの蛇に恋をしてしまう。アンゼルムスはこの蛇がバイト先の雇い主リントホルスト氏の娘ゼルペンティーナであることを知る。一方彼の大学の教頭令嬢ヴェロニカはアンゼルムスの事がなぜか好きで、彼が宮中顧問官になったら結婚したいと思っている。ヴェロニカはアンゼルムスを手に入れようと魔女ラウエリンの助けを借りるが、実はラウエリンはリントホルストの持つお宝・黄金の壷を狙っているのだった…と、まあそんなストーリー。

 神話まで絡んで物語が展開する本書、現代なら「ファンタジー」の一言で片付けられそうだがこの時代にはそんなジャンル分けがあったわけでもなく、まあ強いて言うなら幻想小説とでも言うのか、上に書いたストーリーだけ読んでもわかるように恐ろしく荒唐無稽な作品である。しかし、アンゼルムスが生活している19世紀ドイツの市井の暮らしぶりは極めて克明に描写されていてリアルだし、いくつかのシーンはなかなか文学的に美しい。
 あとがきにもあるように、アンゼルムスを取り巻くサブキャラたちがとても現実的で、みんな俗物根性丸出しなのも可笑しい。ヴェロニカはアンゼルムスが好きだ好きだ、結婚したいと言いながら、それはあくまで彼が宮中顧問官になることが前提で、結局彼がいなくなってしまうと、宮中顧問官になったヘールブラントとあっさり婚約してしまうのだ。そうした人々と、現世での出世や金儲けとは無縁な詩人としての生活を選んだアンゼルムスを対比させたいのだろうか。しかしアンゼルムスが得た「幸福」はあくまで詩人の心の中だけにある「幸福」に過ぎないのではないのか。

 というわけで「詩人」と一般人の間には大きな溝が横たわっていることを図らずも明らかにしてしまった一作。そんな事考えなくても面白い事は面白いけど、いまどきはもっと高度で複雑なファンタジー小説がいくらでもある。単純にそういう幻想小説みたいなものが読みたい人には薦めにくいか。私の個人的な意見としても正直「短編集」の方が好きだった。だがあの本もなくしてしまった。買おうと思ったら岩波さん、在庫僅少だって…
.27 2008 ドイツ文学 comment0 trackback0

comment

post comment

  • URL
  • comment

  • password
  • secret
  • 管理者にだけ表示を許可する

trackback

trackbackURL:http://piaa0117.blog6.fc2.com/tb.php/779-b9593994

プロフィール

piaa

  • Author:piaa
  • Livedoorへ移転しましたので、そちらでお願いします。

    こちらのブログへのコメントはLivedoorに転載しますが、定期的にチェックしないので相当遅くなることもあります。

ブログナビ

P&M_Blog
 トップページ
  ├ 月別アーカイブ
  |  └ --年--月
  ├ カテゴリー
  |  └ スポンサー広告
  └ スポンサーサイト
P&M_Blog
 トップページ
  ├ 月別アーカイブ
  |  └ 2008年03月
  ├ カテゴリー
  |  └ ドイツ文学
  └ E.T.A. ホフマン 黄金の壷

カレンダー

07 | 2017/08 | 09
- - 1 2 3 4 5
6 7 8 9 10 11 12
13 14 15 16 17 18 19
20 21 22 23 24 25 26
27 28 29 30 31 - -

月別アーカイブ

カウンター

ブログ内検索

上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。