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福永武彦 草の花


 若い頃福永武彦にはまった時期があって、「死の島」を筆頭に「風土」「海市」「廃市」「忘却の川」…大抵の作品を読んだ。
 ところが、この福永の最高傑作とする人も多い作品「草の花」を読んだ覚えがない。別に避けていたわけでもないのだが…
 と、いうわけで手にとった。

 この作品はプロローグとエピローグに挟まれて第1部と第2部の構成をとっている。
 プロローグに当たる「冬」はなぜ「私」が汐見茂思の2冊のノートを手にとることになったかが語られ、第1部は高校時代の後輩、藤木忍との事が、第2部では藤木の死後の、彼の妹千枝子との事が語られる。
 第1部は、藤木を愛してしまう汐見の苦悩が描かれる。要するに昔よくあった同性愛の世界である。だが現代のBLなどとはちょっと違って格調高く、決していやらしい感じのものではない。結局汐見は藤木に拒絶され、しかも藤木はあっさり病死してしまう。第2部はその数年後、汐見は藤木の妹千枝子を愛するようになる。戦争の足跡が忍び寄る東京を舞台に、汐見と千枝子の愛のゆくえは…

 まあそうとう観念的な世界が展開する作品。第1部は同性愛が描かれている点でなかなかとっつきにくいが、第2部になると頭でっかちな汐見と頑固な千枝子のやり取りが後の福永の傑作「死の島」での相馬と綾子のやり取りを思わせて魅力的である。二人の「愛とはこう在らねばならない」みたいな主張はちょっと古臭くて新鮮。昔の人ってこんなに真面目だったんだ、と妙な事に感心したりする。

 ところで「夢のように」という福永武彦研究サイトがあるが、ここの作品人気投票ではこの作品がぶっちぎりのトップの人気。福永ファンにはとても支持されている作品だという事だ。確かにいい作品だとは思うのだが、この作品をさらに深化させ、登場人物たちを極限に追い込んだ作品ともいえる「死の島」をすでに読んでしまっていると、内容、構成をふくめこの作品はいろんな意味で、後の「死の島」を書くための習作である、と言ってしまったら言いすぎだろうか。
.21 2008 日本文学 comment2 trackback0

comment

ずーーっと昔(高校生の頃?)、福永武彦にハマったのは「草の花」を読んでだったと記憶しています。 ところが、内容をまったく覚えてないんです。
他の本も読んだ記憶はあるのに、内容はぜんぶ真っ白。
なぜなのか、自分でも不思議なほど真っ白(笑)。
piaaさんにすすめていただいた「死の島」がおもしろかったので、
福永武彦を再度読むべきか否か迷っています。
2008.03.26 22:53 | URL | vogel #9JN9NMwM [edit]
そうそう、読んだのに、面白かったとか気に入ったことは覚えているんだけど肝心の中身を覚えていないってことありますよね。私も「死の島」以外のこの人の作品、だいぶ読んだのにあまり覚えていません。
私は福永をぼちぼち読み返そうと思っています。でも意外と手に入らないんですよね~。
2008.03.26 23:07 | URL | piaa #- [edit]

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