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ストルガツキー 路傍のピクニック(ストーカー)

storker.jpg

 アルカジイ&ボリス・ストルガツキー(兄弟)はソビエト/ロシアのSF作家。
 この「路傍のピクニック」(邦題:ストーカー)はタルコフスキーが映画化したことでも有名なこの作者の代表作である。
 ハーモントはのどかな町だったがある日高度な文明をもつ地球外生命によると思われる「来訪」が起こり、町の一部は「ゾーン」と化した。「ゾーン」には「来訪者」が残した「ブツ」が転がっている。これらのブツには極めて危険なもの(「魔女のジェリー」「蚊の禿」など)有益なもの(「適量」「ブレスレット」など)意味不明なもの(「空缶」など)があり、政府が「ゾーン」を立ち入り禁止にして管理していたが、中には監視の目をかいくぐって「ゾーン」に侵入しブツを持ち出し闇ルートに売る者がいた。彼らの事を人は「ストーカー」と呼んだ…

 ここでの(邦題でもあり、タルコフスキーの映画タイトルでもある)「ストーカー」と言う言葉は「密猟者」くらいのニュアンスで使われている。現在この言葉は意味が違ってきたので、そろそろこの邦題は時代遅れかも。原題の「路傍のピクニック」は「来訪者」が「地球」でやったことと「ストーカー」が「ゾーン」でやったことの二重の意味を持つ、なかなか示唆に富んだ題名なのでこちらに戻した方がいいと思う。

 ある意味ファースト・コンタクト物なのだが、「来訪者」はほとんど人類に興味は無い。ただやってきて、痕跡を残しただけである。作者はそういうSF的な事柄よりも、そういう状況下での人間の強さ、したたかさ、あるいは弱さを描いていて秀逸な作品である。主人公レッド・シュハルトはまるで戦後の混乱期の日本みたいなハーモントの街で、妻子を抱え、ストーカーとして裏社会を生きざるを得ない。アメリカのSFにこういう切り口はほとんど存在しないので、アメリカSFに馴れた人にはこの作品はとても新鮮なはずである。
 「ソラリス」のレムがこの作品の書評を書いている。(国書刊行会「高い城/文学エッセイ」収録)レムとストルガツキーのSFに対するスタンスの違いが浮き彫りになるエッセイなので一読の価値あり。

 タルコフスキーの映画はこの小説とは大きく違う。小説が気に入った人は見なくてもいいと思う。(と言うか怒りを覚えるかも)もし観るのなら、この小説の設定を借りた別な物語として観る事。
 この映画のために書かれ、ボツになったシナリオ「願望機」も群像社から出ている。あわせて読むのも一興であろう。

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.20 2005 ストルガツキー comment8 trackback1

comment

うちのブログへのコメントありがとうございます。
邦題を「路傍・・」にするのは賛成ですね。
タルコフスキーは彼自身が自分の世界をもっているので、原作は材料に過ぎないんでしょうね。本作はストルガツキイのほうを未読なのでなんともいえませんが、ソラリスの例などからすると、表層的にはかなり原作に忠実でありながら、本質的なところをまったく原作と変えてしまうという、タチの悪い映画作家なんでしょうね。(笑)
ストーカーはストルガツキイによる映画シナリオがボツになったという経緯もあるので、仰るようにはじめから別物と考えるべきなんでしょうね。
ではまた。
2005.05.09 08:57 | URL | manimani #- [edit]
タルコフスキーと言う映画作家は好きなのです。
「ストーカー」も彼らしい傑作だと思うのですが、
翻案の激しさは「ソラリス」以上です。
そこが面白いのかも知れないですけどね
2005.05.09 13:18 | URL | piaa #- [edit]
コメント&トラックバックありがとうございます!
>タルコフスキーの映画はこの小説とは大きく違う。小説が気に入った人は見なくてもいいと思う。
なるほど。「ソラリス」のようにまるで別の作品になっているわけですね。
私は小説『ストーカー』が十分に気に入りましたが、タルコフスキーの映画版も観てみたいです。
どれくらい翻案が激しいのか、逆に興味がわいてきます。
2005.06.22 13:34 | URL | マヨネ #0oB6Q2cs [edit]
ブラックコーヒー
クールミントガム
ブレスケアフィルム
などを用意しましょう。
まぶたの上にデンタルペーストを塗っておくと言う荒技もあります。
とにかく眠いぞ「ストーカー」
2005.06.22 20:57 | URL | piaa #- [edit]
レッドは戦後の闇屋みたいなバイタリティあふれる人物として描かれ、SF小説には頭でっかちな科学者とか、正反対に単純バカの軍人の主人公が多いのですが、この小説はそういう面でもかなり変わっています。というかもはやSFとして読む必要もないでしょう。
これを読んだら次は「蟻塚の中のかぶと虫」をぜひ。
「みにくい白鳥」や「滅びの都」はその後で読みましょう。
2008.02.07 22:17 | URL | piaa #- [edit]
ゾーンが人間の理解を超えた場所であることで、人間はどうなるのか?というようなことを考えさせられました。
人間が何でも理解し利用できる、という従来の進歩とは違った、人間にはどうにもできない状況が来るかもしれないと感じたりします。
そうした状況下でも生きていく、生きぬくという部分が惹かれました。
ヌーナンとワレンチンの会話の部分が面白いです。
そして、レッドという人物の生き方にもひきつけられました。モノを盗みだして闇で売りつけているけれど、人間としてはまともだな~と。
2008.02.07 15:30 | URL | kmy #GaU3vP2. [edit]
タルコフスキーの映画見ましたが、幸せとは何か?がテーマになってると思います。
廃墟好きと睡眠不足の方にはたまらない映画ですよ、惜しむらくはこの映画の撮影をした廃墟は
何らかの汚染があったらしく監督も役者もカメラマンもこの廃墟での撮影が原因で亡くなったみたいです。
2011.11.02 01:36 | URL | 通りすがり #- [edit]
コメントありがとうございます。

タルコフスキーの作品はおおむね好きなのですが、この作品を原作にした映画だけはどうも…。正直言って原作のいい所をほとんど生かしていないと思います。
別物の面白さがないわけではないですけど、原作ファンの私としては釈然としない部分があります。

撮影した場所が何かで汚染されていて…と言う話は全くの初耳です。ネット上にソースがあれば示していただくとありがたいのですが。
2011.11.03 00:58 | URL | piaa #- [edit]

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■詳細出版社:ハヤカワ文庫SF訳者:深見弾発行年月:1983年2月価格:462円ジャンル:ロシアSF■感想タルコフスキーの映画『ストーカー』の原作小説。私は映画の方をみていないのでそっちと比べることはできないのだけれど、まあタルコフスキーはきっと原作どお

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