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万城目学 鹿男あをによし


 今玉木宏主演でドラマ化されて話題の作品。RINRINが読んで面白かったと言うので借りて読んでみた。

 作者の万城目学(まきめ・まなぶ)は大阪出身の作家で、これが2作目。1976年生まれというから30歳そこそこの新鋭だ。
 物語は、やや神経質な性質の主人公「おれ」が、奈良の女子高に臨時講師として赴任するが、なぜかしゃべる鹿に話しかけられ、「目」と呼ばれる神器を運ばされる破目になる。訳がわからず失敗を繰りかえす「おれ」は呪いをかけられ鹿の顔にされてしまう。鹿は「目を取り戻さないと日本が滅びる」と警告するのだが…といった物で、神話の絡むファンタジーの要素、「目」を隠している者がだれなのか、というミステリーの要素、剣道部の試合で優勝を目指す青春小説の要素となかなか盛り沢山な作品である。

 まあ簡単に感想を述べると、面白かった。ストーリーそのものの展開もよく練ってあるし、ミステリーとしての謎の配置の仕方などもうまい。私はなじみがないのでよくわからないが奈良の風物もとてもよく描きこまれているのだそうだ。人物の造形などはあっさり軽い。それも決して欠点ではない。言葉でくどくど説明せずに人物像を作ってしまうのは見事。特にヒロインの女子高生堀田イトのキャラクターが冴えている。登場直後のワンシーンだけで男から見たわけのわからん女の子像を見事に描ききっている。
 全体に回りくどい展開が一切なく、登場人物も最小限に絞った、シンプルでスピーディな展開で、小説が苦手な若い人にも読みやすいだろうと思われる。かなり荒唐無稽な展開も、ファンタジーなのだからOK。ほほえましいラストシーンもよい。

 この作品の中に登場する「鹿」は太古から生き続けている賢者である。その彼がこう言う。「本当に大事なことは、文字にしてはいけない。言葉とは魂だからだ。…そのことを人間は忘れてしまったらしい」(350ページ)
 なかなか深みのある言葉だ。全体を軽妙でユーモラスな語り口で進めながらそういう深いセリフが現れて、しかも違和感を感じさせないあたりは、実はこの作家、大変な技量の持ち主かもしれない。
 RINRINはこの作家の処女作「鴨川ホルモー」も買ってきているようだ。そちらも今度読んでみようと思う。

 それにしても普段翻訳作品ばかり読んでいる私としては、日本人作家の作品が読みやすいことに改めて驚いてしまう。あまりにもするする読めて抵抗が少なすぎるので今度はなにか重い奴を読もう。
.31 2008 日本文学 comment4 trackback0

comment

「鴨川ホルモー」が出たときから気になっていた著者だったので、piaaさんのレビューを待っていました!
意外に(失礼!)おもしろそうですね。
奈良にひかれて、ドラマをみているのですが、大好きな奈良の風景と、荒唐無稽なような神経症のような曖昧なストーリーと、「間」がおもしろくて気に入ってます。
原作の持ち味がそうなんですね。 やっぱり読んでみよう…かな。

娘さんと本の貸し借りができるってステキ。 いいなあ。

2008.02.01 21:55 | URL | vogel #9JN9NMwM [edit]
何も考えずに読むにはもってこいの作品ですね。
あっという間に読んでしまいますよ。

ドラマ、よくできていますよね。玉木宏も多部未華子もなかなかの適役だと思います。ただ綾瀬はるかの役は、原作では男性なんですよ。
2008.02.02 00:17 | URL | piaa #- [edit]
面白そうですね!
気になっているうちにドラマ化されてしまって、なんとなく気持ちが萎えていたのですが原作の方が良さそう…。

綾瀬はるかの役は男性なんですか!やっぱり華が欲しかったのでしょうか…。ドラマ化で性別が変わる作品、多いですよね。
2008.02.03 08:49 | URL | ニゲラ #- [edit]
ドラマはドラマでよくできていますけどね。
まあ確かに原作は、女子高が舞台のわりには登場人物が野郎ばかりでむさ苦しかったので、綾瀬はるかのトボけた芝居がちょうどいいのかもしれません。
2008.02.03 22:51 | URL | piaa #- [edit]

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