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スティーブンスン 宝島


 先日「新アラビア夜話」を読んだスティーブンスンの代表作。
 これもRINRINの本棚にあった本。岩波少年文庫だから子供向けという位置づけの本なのだが、大人が読んでも全然OK、というか大人が読んだ方が楽しめるかも知れない海洋冒険小説である。

 舞台は18世紀イギリス。父が経営する宿屋「ベンボー提督亭」を手伝う少年ジム。ある日この宿屋に「船長」と呼ばれるやくざな船乗りが現れる。やがてジムはこの「船長」が握っていた、伝説の海賊フリント船長が隠した宝島の地図を手に入れ、土地の有力者トレローニ卿やリヴシー医師とともに宝島を目指す事になる。船乗りを集めた彼らだったが、コック長として雇った如才ない男シルヴァーは、実は海賊の一味だった…

 子供向きの作品としては、370ページほどとかなり長い。しかもジムたちを乗せたヒスパニオラ号が海に出るまでの前置きに100ページを費やして物語の基礎となる部分…ジムが地図を手に入れるまでの経緯と、海賊達の暗躍…を手抜きなしにじっくり説明する。現代のこらえ性のない子供たちはこのへんで脱落だ。だがそこから先はシルヴァー一味の反逆、ジムの暴走などで一気に読ませる。

 ここで描かれているのはスティーブンスンがこの作品を書いた1880年代よりもさらに100年以上前の1760年代。船と言えば帆船しかなかった1760年代はスティーブンスンにとっても遠い過去の物語で、そこにはそこはかとないローテクへのノスタルジーが垣間見える。この作品が刊行されて大ヒットした1880年代の人々にとってこの作品は、現代人が「パイレーツ・オブ・カリビアン」を喜ぶのとさして違いがなかったのかもしれない。
 で、よく言われているようにジョン・シルヴァーと言うキャラクターが魅力的。海賊で都合の悪い相手はあっさり殺害してしまう極悪人なのだが、なぜかジムのことは気にいっていて何度となくジムの命を救う。反乱がうまくいかないとなるとあっさり改心してトレローニ卿に協力するあたりはいかにも人間臭い。もちろん最後は逃亡してしまう。

 ちょっと気になったのはジムがシルヴァーたちに見つかってしまう時にオウムのフリント船長が叫ぶセリフ。「8レアル銀貨」と訳してある。オウムはこれを連呼するのだが、「8レアル銀貨」というのはオウムがしゃべる言葉としてはちょっと長すぎて不自然な気がする。原文では「Pieces of eight」と言っている。「8レアル」だけでもよかったのでは。これはラストでも繰り返されるセリフなのでもうちょっとスマートに訳して欲しかった。
 原文はこちらで読める。興味と英語に自信のある方はどうぞ。

 私たちくらいの歳の人なら、1978年に放送されていた出崎統監督のTVアニメをご覧になった方も多いと思う。こうやって本を読むとあのアニメはかなり原作に忠実だったのではないかと思うが、残念ながらアニメの細部までは覚えていない。
.19 2008 英文学 comment2 trackback0

comment

これは、大人が読んだ方が楽しめる作品ですよね!

子どものとき読んで、ジムが宝島の地図を見つけるくだりがものすごく怖かったのを思い出しました。
どうも、敵が目の前にいるよりひたひたと迫っている状態の方が、わたしの恐怖感を掻きたてるみたいです。
海賊・シルヴァーは魅力的なんですが、鸚鵡のキャプテン・フリントも負けず劣らず好きなキャラクターです。
2008.04.24 22:43 | URL | ぐら #- [edit]
ぐらさん、こんばんわ!
物語そのものは結構ご都合主義なところもあって、そういうところは児童文学だなあとは思わせますが、雰囲気とキャラクターの魅力でそれを補って余りある一級の海洋冒険小説ですね。
以前、ハヤカワから出ている、やはり帆船時代が舞台の海洋冒険小説「ジャック・オーブリー」シリーズを1作読みましたが、ディティールにこだわってばかりでちっとも面白くなかったのを思い出しました。
やはり名作と言われるものは違いますね。
2008.04.24 23:37 | URL | piaa #- [edit]

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