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村上春樹 風の歌を聴け


 今年は「日本人作家の作品を読む」ことをテーマに掲げた私だったが、では手はじめに何を読もうか、と考えた。
 結果、村上春樹を読んでみようと思った。…須賀敦子を先に読んじゃったけど。
 どこかで書いたと思うが、私は25年ほど前に「1973年のピンボール」を読んで気に入らず、以来全くこの作家を避けてきた。とはいえその時にどんな風に気にいらなかったのかもさだかではなくなった今、改めて読んでみると意外といいかもしれない、などと少し期待して、でもあんまり長い作品を選んで気に入らなかったらいやだな、と思って適当な短さのこれを手にとった。
 この「風の歌を聴け」は1979年発表の村上氏のデビュー作である。

 まず冒頭。
『「完璧な文章などといったものは存在しない。完璧な絶望が存在しないようにね。」
 僕が大学生だったころ偶然に知り合ったある作家は僕に向かってそう言った。僕がその本当の意味を理解できたのはずっと後の事だったが、…』

 これはいきなり「ギャツビー」へのオマージュだ。「ギャツビー」の冒頭はこうだ。
『僕がまだ年若く、心に傷を負いやすかったころ、父親がひとつ忠告を与えてくれた。その言葉について僕は、ことあるごとに考えをめぐらせてきた。
「誰かのことを批判したくなったときには、こう考えるようにするんだよ。すべての人が、おまえのように恵まれた条件を与えられたわけではないのだと」』
(村上春樹訳「グレート・ギャツビー」より)
 書いている内容こそ違うし、セリフと解説が前後しているが、これは明らかにオマージュである。この冒頭の数行で私をニヤリとさせてしまった。
 最近この作家は「ギャツビー」を訳して、そこでこの作品のことを「完璧な作品」と持ち上げているが、この冒頭はそれを裏付けるものだと思う。他にも翻訳作品…特にチャンドラーを思わせる会話などのエッセンスがちりばめられた不思議な作品だ。

 この作品全体は1970年を舞台に、当時の若者の心情を綴った作品である。乾いた軽快なタッチとなんとなくヒッピー的なカラーで進められる作品の全体的な手触りはブローティガン的である。
 大してドラマティックな出来事がなく断片的に進行するストーリー展開に絡めて、本筋とは関係ないラジオ放送の内容が入ったり、架空の作家ハートフィールドがいかにも実在っぽく描かれているのが面白い。当時の若者が好んだ洋楽(The Beach Boysとか)なども盛り込まれていて当時を知る団塊の世代の読み手には郷愁を誘うだろう。

 で、どうだったかと尋ねられたら、25年前に「1973年のピンボール」を読んだとき、以降25年もの間この作家の作品を遠ざけるほどの拒否反応を示したほどに気に入らなかったほどキライではなかった。ただ、正直これを読むヒマがあったらブローティガンを読んだ方がいいとは思う。ブローティガンのほうが村上よりもまなざしが澄んでいて、その作品で何を見据えたいのか明確だと思う。
 とは言え村上はこれがデヴュー作。これ以降大変な数の作品をモノしているわけで、傑作とされている物も数多い。というわけで正直あと一冊読んでみてもいいかなと思っている。
 さて何を読むべきか? オススメのものがあったら教えてください。
.08 2008 日本文学 comment5 trackback0

comment

こんにちは。いつも楽しく読んでいます。
村上春樹作品のおすすめですが、「ダンス・ダンス・ダンス」などはいかがでしょうか。
あれよあれよと読まされる上に、ずしりとした読後感があってお薦めです。
2008.01.09 01:13 | URL | S. O. #- [edit]
初期の村上春樹は作品に繋がりがあって、一つだけ読んでもピンとこないというきらいがありますね~
「ダンス・ダンス・ダンス」は結構好きですが、「羊をめぐる冒険」もよんでおかないといけないし、それならば「ピンボール」読んでおかないといけないし、それならば「風の~」も(笑)
代表作「ノルウェイの森」に行くか、一気に「ねじまき鳥クロニクル」に行くか、短めの「国境の南、太陽の西」(だったっけ?)がいいのでは・・?最近では「海辺のカフカ」がよいかと。
ああ、「世界の終わりとハードボイルドワンダーランド」も結構いいですねえ。

とぜんぜんオススメになっていませんが^^;
2008.01.09 07:54 | URL | manimani #- [edit]
>S.Oさん

はじめまして。
書き込みとご紹介、ありがとうございます。
「ダンス・ダンス・ダンス」は「風の歌を聴け」「1973年のピンボール」「羊をめぐる冒険」と連作なのですね。そう聞いちゃうと全部読まないといかんような気がしてしまいます。
いずれにしろまだすぐ読めるわけではないので、じっくり考えてみます。

>manimaniさん
実はハルキストでしたか?
「世界の終わりとハードボイルドワンダーランド」はなんとなく面白そうですね。
参考にさせていただきます。
2008.01.09 21:37 | URL | piaa #- [edit]
piaaさん、なんともビミョウですね(笑)。
piaaさんがもう一冊読まれてから、読むかどうか考えよっと。

ようやく今頃になって、piaaさんおすすめの福永武彦「死の島」を図書館で予約しました。 楽しみです。
2008.01.11 22:09 | URL | vogel #9JN9NMwM [edit]
う~ん、ビミョウです(笑)。
「25年もの間この作家の作品を遠ざけるほどの拒否反応を示したほどに気に入らなかったほどキライではなかった」=「やっぱり好きではなかった」とも言えますね。

「死の島」!あれは凄いです。私の最愛の小説のひとつです。
vogelさんがどうお感じになるかとても楽しみです。
2008.01.12 00:45 | URL | piaa #- [edit]

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