スポンサーサイト

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。
.-- -- スポンサー広告 comment(-) trackback(-)

ゲーテ ファウスト[第2部]


 先日読んだ「ファウスト第1部」につづく第2部。 
 分量は「第1部」の倍近くになり、5幕の悲劇という形で一見「第1部」よりも整然とした構成の作品と見えるが、内容はきわめて荒唐無稽で、実際の劇としては「第1部」よりもさらに上演不可能と思わせるものになっている。
 マルガレーテを失った傷も癒えたファウストは「大世界」へ。メフィストフェレスとともに皇帝に取り入ったり(第1部)、かつての弟子ワーグネルが作った人造人間ホムンクルスとともにギリシャの「古代のワルプルギスの夜」に参加したりする(第2部)が、やがてギリシア神話の女神へレナと結ばれる。だがこの結婚も息子オイフォーリンの死によって終わり(第3幕)、ドイツへと戻ったファウストは戦争で手柄をたてて皇帝から海辺の土地をもらう(第4幕)。この海を埋め立てて新しい土地を作る事業を起こすファウストだったが…(第5幕)。

 恋愛とその顛末を描いてわりと単純明快な第1部に比べてかなり複雑で長大な第2部だが、第1幕などはかなり冗漫で、仮装舞踏会のシーンなどあんなに長い必要があったのかどうか疑問なほどで、このシーンあたりで挫折する読者も多そうだ。この作品は後ろに行けば行くほど読みやすくはなるが、やはり最後の「第5幕」が圧巻である。

 「第5幕」はまず明るいイメージでフィレモンとバウキスの家を訪ねる旅人が描かれる「打ち開けた土地」で始まる。フィレモンとバウキスはギリシャ神話に登場する夫婦愛の象徴とされる人物。ファウストは立ち退きに応じない老夫婦をなんとか説得しようとする。しかしメフィストフェレスは旅人もろとも老夫婦を殺害してしまう。この光景を目撃する望楼主リュンケウスの嘆きの歌もすばらしいが、怒り自己嫌悪に陥るファウストのもとに4人の灰色の女「欠乏」「罪過」「困窮」「憂い」がやってくる「夜半」のシーンの不気味さが幕開けの明るさと鋭い対照を成している。「憂い」がファウストの視力を奪ってしまう。やがて希望を胸に抱く人々に向かって、禁じられた言葉「とまれ、お前はいかにも美しい」を口にしてファウストは倒れる。ファウストの魂を手に入れて喜ぶメフィストフェレスだが、天上からやってきた天使の一団がファウストを掠め取ってしまう。そして有名な「山峡」の場でファウストは救済されて天へ上っていくのである。

 第1部のレビューでも書いたが、これは戯曲でありながら舞台化不可能な作品である。変身シーンや幻を見るシーン、はてはポルノまがいのシーンまで、現代のCGの技術を使ってやっと映像化できそうな感じである。元々ゲーテも上演するつもりなどなかったのだろう。
 様々な解釈ができる作品だとは思うが、よく聞くのが「ファウストは常に向上しようとしたから救われた」というようなものである。「山峡」の場で天使の一団が「絶えず努力して励む者を、われらは救う事ができる」と歌うところもあるので、そういうことなのだろう。でもファウストが本当に努力したのは最後の「第5幕」だけのような気がするのは私だけだろうか。「第2部」でのファウストは「第1部」以上にメフィストフェレスの操り人形に成り下がっているような気がしてならないのだが。
 
 この作品は第1部同様、全くといっていいほど映像化されていない。
音楽作品としても「ファウスト」の名を冠した作品はほとんどが「第1部」の内容である。すぐに思い浮かぶのは第5幕のラスト「山峡」の場にほとんどそのまま付曲したグスタフ・マーラーの第8交響曲の第2部が有名。ラストの「神秘の合唱」は一度耳にしたらこの音楽でしかイメージできなくなるほど。その音楽のスケールの大きさに感動する。
.27 2007 ドイツ文学 comment0 trackback1

comment

post comment

  • URL
  • comment

  • password
  • secret
  • 管理者にだけ表示を許可する

trackback

trackbackURL:http://piaa0117.blog6.fc2.com/tb.php/704-878399d4
ギリシャ神話 に関する情報を最新ブログやユーチューブ、通販商品から検索してマッシュアップしてみました。

プロフィール

piaa

  • Author:piaa
  • Livedoorへ移転しましたので、そちらでお願いします。
    http://blog.livedoor.jp/piaa0117/

    こちらのブログへのコメントはLivedoorに転載しますが、定期的にチェックしないので相当遅くなることもあります。

ブログナビ

P&M_Blog
 トップページ
  ├ 月別アーカイブ
  |  └ --年--月
  ├ カテゴリー
  |  └ スポンサー広告
  └ スポンサーサイト
P&M_Blog
 トップページ
  ├ 月別アーカイブ
  |  └ 2007年12月
  ├ カテゴリー
  |  └ ドイツ文学
  └ ゲーテ ファウスト[第2部]

カレンダー

09 | 2017/10 | 11
1 2 3 4 5 6 7
8 9 10 11 12 13 14
15 16 17 18 19 20 21
22 23 24 25 26 27 28
29 30 31 - - - -

月別アーカイブ

カウンター

ブログ内検索

上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。