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O・ヘンリー 1ドルの価値/賢者の贈り物


 「最後の一葉」が有名な、アメリカの作家、O・ヘンリー。短編の名手として名高い。都会風のしゃれた作風の印象が強いが、まだ開拓時代の空気が残る西部を舞台にした作品も意外と多いようだ。
 これは光文社古典新訳文庫から出た芹澤恵氏による新訳で、全23作を収めた傑作集である。

 実はO・ヘンリーの作品はずいぶん前に少し読んだ覚えがあるが、もうほとんど覚えていない。「献立表の春」「赤い族長の身代金」…確かに読んだはずなのだが「最後の一葉」「賢者の贈り物」以外はストーリーも良く覚えていなかった。逆に言えばだから今回、新鮮な気持ちで読む事が出来た。だから旧訳に比べてどうかはよくわからないが、これだけは言える。光文社古典新訳文庫は文字が大きくて読みやすい。

 O・ヘンリーの作品はどれも短い。10ページから20ページくらいの作品が多く、さくさく読めてしまう。どの作品も20世紀初頭のアメリカの古きよき時代を舞台に、機智に富んだひねりの効いた内容であるときはニヤリとさせ、あるときはホロリとさせる。まあ要するに人情話で、軽く読めて楽しい。ただややワンパターンで、何作か読むと後の作品はだいたい展開が読めてしまう。
 とは言うものの、オチがどうなるか予想できても、あるいは予想したとおりのオチだったとしても、ぜんぜん「な~んだ、つまらない。」とは思わない。オチそのものは予想通りだとしても、そこへもっていく過程のひねり具合がうまいので、またそこでニヤリとさせられたり、ホロリとさせられたりするのだ。

 金庫破りをやめて堅気の商売を始めた男の物語「蘇った改心」、本書の中では唯一銃撃戦が展開するが、ひょっとして文学史上もっとものどかな銃撃戦が描かれる「1ドルの価値」、そして本書の中では一番長い(約30ページ)が、半分まで読んだ所で結末が予想でき、その通りに物語が進んだにもかかわらず、ラストでは危うく泣きそうになってしまった「水車のある教会」などが印象に残った。

 一方有名な「最後の一葉」は、改めて読んでみるとラストで真実を告げる部分がスウの語りだけになっているのにちょっと疑問を覚えた。ここはジョンズィのリアクションを見たかった気もするが、でもやはりよく考えるとこの通りスウの語りだけで終わるのがやっぱり一番スマートなのかもしれない。

 とにかく、読みやすくて楽しい短編集なので、普段あまり本を読まない人にもオススメ。20世紀初頭のアメリカの人情話なんて現代には合わないよ、と思われる方もいるかもしれないが、そんなことはない。人間の優しい気持ちには場所も時代も関係ないのだ。
.22 2007 北米文学 comment2 trackback0

comment

あ~、あの教科書の人ね、て感じで緑青に覆われた作家と思い込んでいたんだけど、こわもてのレムがO・ヘンリーの事を、結構好きだよなんて言ってたんで読んでみた。
賢者の贈り物、こんなに爽やかなお話だとは!!
警官と賛美歌ではロートの聖なる酔っぱらいの伝説を
マモンの神とキューピッドでは素晴らしき哉、人生をなぜだか
思い出した。
全然関係のないものが結びついたときの快感が読書の楽しみ。
全編を一気に読まずに、週に一篇位読むのがいいですね。
2007.10.30 12:32 | URL | K #- [edit]
コメントありがとうございます。
レムがO・ヘンリーを好きというのは知りませんでしたが、
彼は自分の作品と共通点のないものは結構評価している事があるので、そういうこともあるかと思いました。

小説としての技巧はむしろ素朴で単純なのに、
心を捉える何かを持っている作品たちです。
すべての人にオススメの短編集ですね。
2007.10.30 23:58 | URL | piaa #- [edit]

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