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チャンドラー+パーカー プードル・スプリングス物語


 チャンドラーが「プレイバック」のあとに書き始め、第4章まで書いた時点で亡くなったために未完のまま残された遺稿「プードル・スプリングス物語」。この断片は書簡集「レイモンド・チャンドラー語る」でも読めたが、チャンドラーが書いたのは本当にさわりの部分だけである。事件もまだ起こらず、登場人物もまだ数人である。
 これはその「プードル・スプリングス物語」をスペンサー・シリーズのロバート・B・パーカーが引き継いだ形で完成させた作品である。

 マーロウはリンダと結婚して、高級住宅街プードル・スプリングスに住み始める。マーロウは仕事をするために事務所を開こうとするが、行く先々で富豪のハーラン・ポッターの娘(リンダの事)と結婚した男として自分が有名になっている事を知る。
 そんな中で会った男の中にリップシュルツというちょっと男がいた。この男はなにかワケありのようだ…と、チャンドラーが書いた第4章までのあらすじはここまで。全く事件は起こっていない。ここから後はパーカーが創作したわけだ。

 パーカーの創作したストーリーは、リップシュルツに依頼されてレス・ヴァレンタインという男を捜しているうちに様々な謎と死体に出会う事になるマーロウと、彼に金持ちの男として落ちついてもらいたいリンダのすれ違いをなかなか緻密に描いている。
 マーロウは相変わらず軽口を飛ばすし、マーロウの一人称の地の文もチャンドラーが書いたものと同じように思わずニヤリとさせる比喩などを含んでいてさすが。ただ全体に硬い感じを受けるのはいつもの清水俊二氏の訳文ではないからだろうか。
 ただ、このレス・ヴァレンタイン事件の内容は結婚とか家庭にまつわる秘密をめぐる暗いイメージの事件で、どちらかというとロス・マクドナルドのアーチャーものに近い印象を受ける。マーロウ本人が結婚の事情でごたごたしているので、事件のほうも結婚にまつわるものにしてトーンを合わせたと言う感じか。
 マーロウはなかなかの頑固者で、カネにはならなくても探偵の仕事を続けると言い張り、リンダと溝が広がってくるわけだ。リンダもそんな事はわかっていて結婚しただろうに、などと思ってしまうが、わかっていたようでもうまくいかなくなるのが男と女というものなのだ。
 ところでマーロウ夫妻の召使として、日本人とハワイ人の混血の青年アウグスティノという人物が出てくる。なんで日本人とハワイ人の混血なのに中南米系の名前なんだ、と突っ込んではいけない。だってチャンドラーがそう書いているんだもの。

 この作品、どちらかというと評判があまりよくないようだ。パーカーが後に書いたマーロウもの「おそらくは夢を」の関口苑生氏による文庫版解説には「チャンドラーのマーロウでもパーカーのマーロウでもない中途半端なものなってしまった」とある。
 それはそうだ。でも、少なくとも私はパーカーのマーロウなんて別に読まなくてもいい。ここに描かれたのはパーカーができるだけチャンドラーに接近して描いたマーロウなのだ。だから私は話が大きくなりすぎた感のある「おそらくは夢を」よりもこちらの方が好きだ。

 チャンドラー自身はマーロウを結婚させたのは失敗だったと考えたらしく、この作品を短編に書き直して別なマーロウものの長編を書こうかとも考えていたそうだ。
 では…やっぱり最後にはマーロウとリンダの結婚は破綻してしまうのかって?
う~ん、それはYESでもありNOでもある。でも私としては納得の行く結末だった、とだけ書いておこう。
.19 2007 ミステリ comment2 trackback0

comment

あれ…予想を裏切って、悪くなさそうですね。
マーロウの結婚生活、ちょっとのぞいてみたくなりました。
2007.10.20 00:51 | URL | vogel #9JN9NMwM [edit]
いやいや、読んでみると結構納得のいく内容でした。

…と、いうわけで、マーロウシリーズ、パーカーの手による2作と競作短編集「フィリップ・マーロウの事件」などのスピンオフ作品も含めてすべて読んでしまいました。
ちなみに「プードル・スプリングス物語」よりも後の話は「フィリップ・マーロウの事件」第2巻に「鼠たち」という作品があるだけです。その作品でもマーロウはちゃんと(?)離婚してロスに戻ってました。
やっぱりロスに戻るのが規定路線だと言うことでしょうか。
2007.10.20 21:27 | URL | piaa #- [edit]

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