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セルゲイ・スニェーゴフ 銀河の破壊者


 古本屋さんで発見したソビエト製スペース・オペラの傑作。現在廃刊。
 スニェーゴフは思想的にも世代的にもエフレーモフとストルガツキーの中間に位置する作家のようである。

 1962年に発表されたこの作品は全くのスペース・オペラである。人類はターネフ消滅という理論を使って光速の壁を突破し、宇宙に進出していた。そこで様々な文明と出会い、人類を中心に連邦を形成している。ある日、どうやら人類未踏の遥かな銀河で巨大な2つの異星人勢力同士が戦っているらしいという事を知る。主人公エリは最新鋭宇宙船「スペース・イーター」で、敵が(あるいは味方が)いると考えられるプレアデス星団へ赴くが、そこで襲撃を受ける。

 銀河連邦のあり方などはスタートレック的で、ここに描かれる社会は(当然だが)どことなく社会主義的である。エフレーモフのようにがっちり社会主義的ではないところが親しみやすいかも知れない。
 地球から60光年先にある人口惑星オラで、エリはヒアデス星団の有翼人種エンゼルや影のようなアルタイル人と出会うが、ヴェガ人の「すみれ」(の色の名前を持つ)という女性に恋してしまう。ヴェガ人はきわめて美しい種族できわめて高い能力と知性をもっているが、その彼女は、人類のことを「あなたたちは…ごく限られた範囲の条件でしか生きられません(中略)あなたたちは、自分の弱い所を探し出し、それをメカニズムで際限なく強化し、欠点を長所に変えてしまった」と賛美する。ソビエトお得意の人間賛歌なのだが、これを、主人公のエリならずとも惹かれてしまいそうなヴェガ人の素晴らしい女性・すみれに語らせているところが皮肉な部分でもあろう。

 そして訪れたプレアデスで、文明が破壊されるのを目の当たりにしたエリらは「敵」と戦闘状態に入る。戦いのさなか友人のアンドレイを敵に拉致されてしまい、「スペース・イーター」はさらに遠くペルセウス二重星団へ向かう事になるのだが、これらの戦闘シーンはまあスペオペなので当然と言えば当然だがちょっとご都合主義的。百万年から二十万年というスパンで戦い続けている超知性に近いはずの「敵」にしてはちょっと脆すぎるような気もしないではないが、まあそれは許そう。それよりもほとんど具体的には描写されない「敵」が異常に好戦的なことの方が気になる。もっともこの作品は三部作の第一作なのでこの後様々な謎が解かれのではないかと思うのだが、続きって手に入るのかなあ。

 これに限らず未来を描いた作品っていくつもあるんだけど、こういうスケールの大きい物語を読めば読むほど、人類の未来は資本主義では成り立たないのではないかと思う。今の、地球温暖化をはじめとする様々な問題は利潤こそが社会の最大の目的で、それ以外のことに目をつぶってきた資本主義そのものに原因があるのではないのだろうか。
こういう作品に描かれた輝くような未来図と、現実の、あらゆる面で閉塞した現代社会の落差を思うとそう思えて仕方がない。
.11 2007 SF comment4 trackback0

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こんばんは!

なんか面白そうな小説ですね~。ちょっとロマンチックな感じで。うーむ。むらむらきました。久しぶりにロシアSFが読みたい!
2007.10.11 21:15 | URL | ntmym #- [edit]
あんまりロシア・ソビエトを意識しないでも読めちゃう、どちらかと言うとスタートレック風味のスペオペです。
ちなみにこれは三部作「神のごとき人々」の第1作。
この後第2作「ペルセウス座侵攻」、第3作「逆時間の環」と続くそうです。
邦訳は深見弾訳、東京創元社から出ていました。
廃刊ですが古本でまだ見つかりそうです。
東欧・ロシアSFって意外と少ないですよね。気合入れて読んだらすぐ読むものなくなりそう。
2007.10.11 21:59 | URL | piaa #- [edit]
以前にこちらの紹介を見て興味を持ち、このほどようやく図書館で借りて読むことができました。「エフレーモフとストルガツキーの中間に位置する」というのはなるほどで、出だしはまるで「月曜日は・・・」を思わせる展開なのですが、天候制御を始めとする改造された地球のありさまはまるっきり「アンドロメダ星雲」のそれですね。
作品が書かれた1962年は宇宙開発でソ連がアメリカをリードしており、さらにカラクーム運河を始めとする大規模開発が進んでいる最中という訳で、それが科学技術への能天気な麗賛に繋がっているのですが、その後を知っている現在の目で見ると、かなり気恥ずかしい描写にも思えます。ただこれはアメリカSFでも同様な訳で、他の世界への「正義の押し付け」も含めて超大国の人が考える事はどちらも同じなのだなと思えてしまいます。
2014.11.22 21:41 | URL | X^2 #CypyILE6 [edit]
おお、とうとうスニェーゴフですか。
私が読んだのはずいぶん前なのでアレですが…
これ三部作ですけど、最後の「逆時間の環」がひどくつまらなかった覚えがあります。

しかし東欧・ロシアSF、もうほとんど読むものが残ってないです…
2014.11.22 23:54 | URL | piaa #- [edit]

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