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川端康成 山の音


 買ってきたまま放置していた川端康成の名作。やっと読んだ。
 川端というとこれまでに「伊豆の踊子」「古都」それに「眠れる美女」を読んだが、格調の高い文学らしい作品と、かなり異常で不気味な作品があるようだ。
 これは格調の高いほうの傑作とされている作品。

 鎌倉に住む主人公の信吾は61歳。妻の保子、息子の修一と嫁の菊子の4人で住んでいる。修一は外に女がいるらしい。そこに娘の房子が出戻ってくる。
 …という家族の肖像を淡々と綴る作品なのだが、そこは川端、そう一筋縄ではいかない。信吾は若い頃、保子の姉に憧れていた。その姉の死後保子と結婚した。房子が生まれる時、保子の姉の生まれ変わりの美しい娘を期待したが、房子は醜く、信吾は娘を愛せなかった。修一の嫁、菊子は美しく、信吾と気も合い、信吾はなにやら菊子を愛してでもいるかのようである。その愛は娘房子を愛せなかったからなのか、保子の姉の面影を菊子に見ているのか…その辺の言葉に出せない雰囲気を、どことはなしにかもし出す独特な美意識のある作品である。

 信吾の61歳と言う年齢だが、この作品は昭和29年に刊行されている。この時代の60歳はもう老人だったと言っていいだろう。「サザエさん」の波平さんを考えてほしい。皆さんは波平さん、いくつだと思っていらっしゃるだろうか? 正解は(ウィキペディアによると)54歳。
 信吾はそれよりも年上なのだ。当時の61歳は今の感覚では70代後半くらいに考えた方がよさそうだ。

 で、ありながらこの小説に描かれた信吾のバイタリティは、やはり後に「眠れる美女」を創り出した作者ならではのものといえるかもしれない。かといって決して信吾がエロ親父というわけではない。誰にでもある心の動きを正直に描いた作品なのだ。
 そんな老いの真実を鋭く突いた物語を、格調高い美しい日本語で描ききってしまう稀有な作品である。海外で高い評価を受けているのも納得である。

 ちなみに1954年には原節子、山村聡主演で映画化されているそうだ。映画化するにはあまり向かない小説のような気もする。
.16 2007 日本文学 comment0 trackback0

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