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堀辰雄 菜穂子・楡の家


 堀辰雄の、「風立ちぬ」に続いて書かれた傑作、「菜穂子」「楡の家」の連作を収めた作品集である。
 堀辰雄の作品では「風立ちぬ」と「美しい村」以外の作品は今回はじめて読んだ。

 昭和9年に書かれた別の作品を基に昭和15年に仕上げられた「菜穂子」は、日本全体が大変な時期だったにもかかわらずそういうことは全く抜きにした作品である。都築明はある日幼馴染の人妻・菜穂子を街で見かける。というところからこの作品は始まる。おおっ!これからドロドロの不倫劇でも始まるのか!と期待してはいけない。堀作品は格調が高いのである。
 菜穂子は肺病になって「風立ちぬ」でおなじみの富士見のサナトリウムに入院する。明は休暇をとってO村(信濃追分だそうだ)に行って村娘と恋仲になったりしている全く別々のストーリーが展開する。
 果たして明と菜穂子はこの100ページほどの短い作品の2/3まで進んだ所でやっと出会う。菜穂子のサナトリウムを明が見舞うのだ。だからと言って何か起こるわけではない。その後二人は二度と(作品中では)会うことはない。

 すごく淡々とした作品で、結果的に何か起こるわけではない。菜穂子と夫の黒川の間もなにやら冷えているが、それが特に変化するわけでもない。この作品で堀は何を描こうとしていたのだろう。菜穂子と言う強い女性を描くこと自体だろうか。それとも最後のほうの菜穂子の向こう見ずな行動に現れた女性の自立への萌芽だろうか。
 それにしても堀作品は、当時の言葉で言うと「ハイカラ」だ。今読んでも、道具立ての古さを別にしたら、全く古さを感じない。

 併録の「楡の家」は菜穂子の母の手記の形をとる作品である。この新潮文庫では「菜穂子」の後に置かれているが、正しくは「菜穂子」の前に置くべき作品だと思う。さらにこの本には「菜穂子」「楡の家」のどちらにも登場してくるO村のおようという女性を主人公にした「ふるさとびと」という短編も収められている。この三作はどうやら三部作とされているようで、岩波文庫などは「『菜穂子』三部作」と表記してあるようだ。
 
 「風立ちぬ」は今流行の純愛小説と読むことも出来る。若い人は「セカチュー」なみに読んでしまうかもしれない。だが、こちらはどう読んでも文学である。とびきりの美しい文章で書かれた「文学」。「風立ちぬ」を読んだら、ぜひこっちも読んでほしい。
.11 2007 日本文学 comment0 trackback0

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