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安部公房 砂の女

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 荒筋を書いてしまうとそれだけでネタバレになりそうな「砂の女」は世界中の言語に訳出された安部公房の最高傑作である。
 とにかく不条理な、現実にはまずありえない話なのだが、その荒唐無稽な設定と、とても細かい写実的な描写がとてもアンバランスで、シュールレアリズムな文学と言えるであろう。

 この作品も「箱男」同様、鍵はセックスである。
はじめに自分の置かれた不条理な状況に対して、サボタージュしたり、仮病を使ったりありとあらゆる方法で対抗する主人公だが、この家の女と性的な関係を持つ事によってこの女や、集落に対抗するそのスタンスが崩れ始める。(いっぺんに崩れるわけではない。そこがまたリアル)
 最終的にはこの女と夫婦同然になってしまい、もはや逃げようと言う気持ちさえなくしてしまう。結局は男は安住の地をこの蟻地獄のような家に見出してしまうのである。
 私みたいな家庭もちの男にはとても恐ろしい本だった。…でも今の私をとりまく状況と、この小説の主人公は、自分で選んだかどうか以外に、はたしてどこか違いがあるのだろうか…?
.25 2005 日本文学 comment0 trackback0

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