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レイモンド・チャンドラー 湖中の女


 レイモンド・チャンドラーの長編第4作。1943年刊行。
 1943年と言うことは第二次世界大戦の真っ只中。この作品にはいたるところに戦時の影がちらついていて、戦時下の米国の人々の暮らしが窺える貴重な作品とも言える。

 と言っても、具体的に戦時を表す表現は、登場人物がなにげなく軍隊に行くとか話すくらいなのだが、マーロウ自身もいつもより何か疲れた感じであまり軽口も飛ばさないし、他の作品に比べるとなにやら重苦しい雰囲気のある作品である。

 ストーリーは実業家のキングスリーに、行方不明の妻クリスタルを捜してくれと依頼を受けたマーロウだったが、クリスタルの愛人レイバリーが殺害されているのを発見する。一方クリスタルと同じ頃に失踪したもう一人の女ミュリエルの遺体が発見され…というもの。

 はっきり言って、この事件のカラクリは最初の6~70ページで想像がついてしまう。ほとんどの読者はラストを待たずに犯人が分かっているだろうから、最後の謎解きも確認に過ぎない。でありながらこの面白さはなんだろう。
 いくつかの一見無関係な事件を織り交ぜながらぐいぐい進んでいく筆致は他のチャンドラー作品にはない魅力だ。そのかわり、いつもの軽口を飛ばし、わざと事件を回りくどくしているかのようなマーロウのいつもの面白さはない。
 登場人物もみな個性的で読みやすい。バリバリの警官デガーモと渡り合う初老の保安官パットンがカッコいい。

 チャンドラーの全作品の中で、私が一番好きな作品は実はこれなのだ。マーロウものとしてはちょっと異色だが、一番まとまっている作品ではないだろうかと思う。
 これに限らずチャンドラーの作品はどれも推理小説というよりはその時代の空気を感じさせる純文学に近い。
 これを読むと戦時下の米国に、こんなに憂鬱な空気が漂っていたことがわかる。もちろん同じ頃、ここで描かれた米国に比べるとわが国ははるかに悲惨な状況だったわけだが。
.02 2007 ミステリ comment0 trackback0

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