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ロス・マクドナルド さむけ


 ロス・マクドナルドのリュウ・アーチャーシリーズは短編集も含めて19冊ある。これはチャンドラーのマーロウシリーズの7冊などに比べかなり多いと言えるが、その中でも最も人気の高いのがこの1964年発表の「さむけ」である。

 舞台はパシフィック・ポイント。アーチャーはアレックスという若者に、行方不明の妻ドリーを探してくれという依頼を受ける。ドリーは簡単に見つかるが、その直後、彼女が通っていたカレッジの女教授ヘレンが殺害される。凶器の拳銃がドリーの部屋から見つかり、ドリーが疑われることになるが、アーチャーは10年前にドリーの母が殺害され、彼女の父チャックが捕まった事件との関連を疑いだす。それを追ううちに、さらに10年前のある事件ともつながりがある事に気づくアーチャーだったが…

 400ページを越す大作で、三っつの事件が絡まった重層的なストーリー。いつもながら重いストーリーだし、登場人物も多く、謎解きもなかなか複雑だが、登場人物のキャラクターが明瞭なので読みにくいことはない。
 22章、死んだヘレンの父で元警官アールが描かれているが、20年前の殺人事件を握りつぶした事がトラウマになっているこの真面目だった警官は、娘が殺されたことで酒におぼれ錯乱して、過去と現実との区別がつかなくなっている。悲しいシーンであるが、これに代表されるようにこの作品のいたるところで過去に押しつぶされそうな人物のうめき声が聴こえてくる、そういう重苦しい作品である。だから推理小説的なカタルシスを求める人向きの作品ではない。実際犯人が分かってもちっともスッキリした気分にはならない。
 これは純文学として読んで素晴らしい作品である。その純文学的な部分と、推理小説としての犯人捜しという要素が見事に融合した傑作だ。

 とは言いながら、疑問な点も残った。
たとえばゴッドウィンはミセス・ブラッドショーのことをどこまで知っていたのか、などだ。あんまり書くとネタバレになるのでこれ以上書かないが…。

 タイトルの「The Chill」は「冷気」「寒気」というような意味。「さむけ」という邦題は直訳に近い。悪くはないがこのタイトルはいかにも地味で、新たな読者を得にくいのではないだろうかと思う。何かぴたっと来る邦題がないものだろうか。
.20 2007 ミステリ comment2 trackback0

comment

さむけ ってひらがなで書くの、すごい良いタイトルだと思います。
実際僕はこの本のことを知らなかったんですが書店でタイトルに惹かれて買いました。 なんか、インパクトあったんです。
2009.07.24 22:16 | URL | 来訪者 #- [edit]
コメントありがとうございます。

>タイトルに惹かれて買いました

そうですか!私の心配は杞憂だったかな。
ぜひ他のマクドナルド作品もお読みください!
2009.07.24 22:39 | URL | piaa #- [edit]

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