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レイモンド・チャンドラー 高い窓


 レイモンド・チャンドラーマーロウもの長編第3作。
 マーロウものとしては「さらば愛しき人よ」や「長いお別れ」などに比べてあまり有名ではない。だが有名ではないから面白くないわけではない。

 マードック夫人に、嫁のリンダが家宝の金貨「ブラシャー・ダブルーン」を持って逃げたので探してくれ、という事で雇われたマーロウだったが、やがて事件の関係者が相次いで殺される。私立探偵フィリップスが、古銭商モーニングスターが殺され、マーロウは事件の背後に8年前の事件があることに気づく。

 推理小説なんて多かれ少なかれそんなものだが、はっきり言ってストーリーはかなり大雑把で、マーロウは行く先々で死体と、事件のヒントを得ることになる。そんな具合だからあんまり真剣に読んでも仕方がない。もともとマーロウものの小説はそんなのを読むための小説ではないのだ。チャンドラーの小説の魅力はこの時代の雰囲気あふれる会話とマーロウの軽口にある、っていまさら言うまでもないか。

 で、私はこの作品を読み終わって、なんだか横溝正史の作品、具体的には「悪魔の手毬唄」あたりを思い出した。突拍子がないように思えるかもしれないが、昔の事件が現在の事件を呼ぶ構造とか、昔の事件によって抑圧され、実力のある女性に従わされてほとんど精神に異常をきたしている女性とか、横溝作品に出てきそうなシチュエーションが以外に多い。同じような素材で、ウエットで重苦しい日本風に味付けされた横溝と、ドライで、つねに軽妙さを忘れない米国風に味付けされたチャンドラーを比較して読むのも一興かも。

 それと気になったのが第24章に出てくるイタリア系の葬儀屋パレルモ。これはいかにも本場のマフィアっぽい人物なのだが、何のために登場したのか全く分からない。フィリップス殺しの罪をヘンチに着せようとする意図もなんだかよく分からない。そういう意味不明なところも含めてチャンドラーは面白いのだが。

 ちなみにこの作品は、翻訳の清水俊二氏の遺作でもある。清水俊二氏はチャンドラーの名訳者という認識しかなかったのだが、あの映画「カサブランカ」の有名な台詞「Here's looking at you, kid」を「君の瞳に乾杯」と訳したのがこの人だったそうだ。ちなみにこの英文を私の持ってる翻訳ソフト「ATLAS」にかけると「君の瞳に乾杯」と出る。これまたある意味、すごい。
.29 2007 ミステリ comment0 trackback0

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