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レイモンド・チャンドラー ヌーン街で拾ったもの


 チャンドラーの短編というと創元推理文庫から全4巻の短編全集が出ているが、これはハヤカワ・ミステリから出ていたチャンドラーの短編集。表題作ほか4編が収録されている。
 これにはチャンドラーの名訳者として知られる清水俊二氏の訳による3編が収録されている点が見逃せない。 

 その3作、どれもフィリップ・マーロウが主役ではない。表題作「ヌーン街で拾ったもの」はピート・アングリッチという男が主人公である。この男は潜入捜査官で、全くマーロウとは関係ないが、ほかの2編はジョニー・ダルマスという探偵で、これはマーロウの原型になった探偵なのだが、ほかの訳者(本書で「指さす男」を訳した田中融二氏も、創元で訳している稲葉明雄氏も)はダルマスの名をすべてマーロウに置き換えている。
 清水氏はダルマスのまま訳しているが、特に「殺しに鵜のまねは通用しない」(原題は「Smart Aleck Kill」…それにしてもこの邦題はどうにかならないのだろうか)は三人称で書かれていて明らかにマーロウものとはタッチが違う。ダルマスで正解だろう。この後に書かれた「雨の殺人者」では主人公の一人称になっている。
 ちなみにこの作品は創元の短編全集には含まれていない。

 ところが「怯じけづいてちゃ商売にならない」(原題「Trouble is My Business」)は長編「大いなる眠り」よりも後の作品なのにダルマスが主人公。チャンドラーは短編と長編でマーロウとダルマスを使い分けていたんだろうか。なんだかよく分からない。

 で、肝心の作品だが、この作品集の中では「怯じけづいてちゃ商売にならない」が一番まとまっていてチャンドラーらしさも出た短編だったとは思うのだが…以前創元の短編集もいくつか読んだ印象を考えても、この作家の短編は残念ながら長編の足元にも及ばないと思う。チャンドラー特有の台詞回しなどの魅力はあるのだが肝心の物語がうまく運ばない。長編と同様の事件の錯綜ぶりを描こうとするので事件の内容が短編に収まりきれてないのだ。
 
 というわけでチャンドラーに関しては長編を読んだほうがいい。
 ここに収められた作品以外の短編も、発表後に練り直して長編の下敷きにした作品などもあって、短編はマニア向けだと言っていいと思う。

 時に、村上春樹氏の訳による「ロング・グッドバイ」が出てにわかにチャンドラーブームのようだ。私個人としては村上氏の訳したチャンドラーには全く興味ないが、チャンドラーが注目されるのは嬉しい。村上訳を読んで気に入った方はぜひ清水訳のチャンドラーを、さらにはハメットやロス・マクドナルドを読んでほしいと思う。

 次回は長編「高い窓」を読む予定。
.18 2007 ミステリ comment0 trackback0

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