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チェーザレ・パヴェーゼ 美しい夏


 パヴェーゼはイタリアの作家で、長編「故郷」はネオ・レアリズモ文学の代表的な作品のひとつに挙げられている。
 「美しい夏」はパヴェーゼが突然の自殺を遂げる前年に発表され大変な評判をとり、イタリア最高の文学賞ストレーガ賞を受賞した傑作だそうで、前回カルヴィーノの「くもの巣の小道」を読んだ勢いと、美しいタイトルに惹かれて手にとった。

 ファシズム政権下のイタリア。16歳の少女ジーニアは、友人で19歳のアメーリアが絵のモデルの仕事をしていることを知って興味を覚えるが、自分には裸でポーズをとるなんてできないと思う。そう思いながらアメーリアを介して知り合った画家のグィードに惹かれていく、といった物語で、簡単に言ってしまえば少女たちの成長物語のように見える作品である。

 なんだかありきたりな少女小説のような感触で、正直前半はなんだか読みにくかった。だが後半、アメーリアが梅毒に冒されていることが判明するくらいから面白くなってくる。この挿話あたりからこの物語の底に流れるダークなものが染み出してきて、この作品が単純な少女小説ではないことがわかってくる。はっきりは書かれていないが、ジーニアの兄セヴェリーノはファシスト党の集会に出かけるし、グィードは兵役中で、それを疎ましく思っている。アメーリアはモデルの仕事だけをしているわけではなく、実のところどうやら娼婦なのではないかと思われる。

 と、いうわけでこの作品は、主人公ジーニアがアメーリアの来た道を忠実にトレースして堕落していく…恋を知り、モデルとして人前で裸になる事に抵抗感がなくなり、タバコを吸うようになり…そういう救いのない小説と読む事ができる。そう考えて読むと正直かなり重い作品である。最後のシーン、ジーニアがアメーリアにどこへでも連れてってと言うが、これはジーニアがアメーリアと同じ堕落への道を選んだ事の象徴的な表現である。救いのない終わり方であるが、そもそも彼女らは救いなど求めているのだろうか。

 これは当時のイタリアの世相を反映した「リアルな」青春小説だったのだろう。そう考えるとこれに似たような、現代日本を舞台にしたこういう小説はいくらでもあると思う。私はこういう小説は苦手なので、したがってこれも苦手だった。
.08 2007 イタリア文学 comment0 trackback0

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