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福山庸治 マドモアゼル・モーツァルト(全3巻)


 「のだめカンタービレ」の15巻だったかに、のだめがモーツァルトの扮装をして演奏するシーンがあったが、そのシーンを見て「このシーン前にも見たような…」という、いわばデジャヴに襲われた。そのデジャヴ元(そんな言葉あるのかな?)がこの作品。
 福山庸治の代表作とされるこの作品は「実はモーツァルトは女だった(!)」という仮説の元にモーツァルトの35年の生涯を描いていて、ミュージカルにもなった。もっともこれはモーツァルトの曲をほとんど使わず、愚にもつかない小室哲也の音楽を聴かされるつまらない舞台だったけど。

 レオポルド(モーツァルトの父)は下の娘で4歳のエリーザがクラヴィアをいたずら弾きしているのを聴いて彼女が天才である事に気づき、彼女に男になることを強要する。いくら天才でも女では音楽家として大成できないと考えたのである。ウォルフガングとなったエリーザは長じて楽壇の寵児となる。
 ウォルフガング(モーツァルト)の先輩作曲家サリエリはある出来事が原因で、モーツァルトが本当は女なのではないかと疑うようになるが確信がもてるわけではない。やがてサリエリはモーツァルトを愛してしまうようになり、自分がホモではないかと悩む。一方モーツァルトは行きがかり上コンスタンツェと結婚する事になるが、当然夫婦生活は成り立たない。

 クラシック音楽を題材にしたコミック作品は最近ちょっとしたブームで、前述「のだめカンタービレ」のほかにも「神童」「ピアノの森」などが高く評価されているようだが、この「マドモアゼル・モーツァルト」は1989年から90年にかけて描かれたクラシックに材をとったコミックの先駆的作品である。

 他の作品が架空の現代の演奏者をめぐる物語なのに比べ、これは実在の人物モーツァルトの生涯を主人公にしている点でも異色の作品で、似たようなパターンとしてはベートーヴェンの生涯を描いた手塚治虫の「ルートヴィヒ・B」(未完)があるが、「ルートヴィヒ…」が、手塚らしいアレンジはあるもののクソ真面目な主人公をストレートに描いたという点で「伝記の漫画化」に留まっているのに比べ、この「マドモアゼル…」はモーツァルトが女だったとしたら、という奇想を元に、史実とつき合わせながらモーツァルトの生涯を追った独特の傑作で、ライヴァルであったサリエリとの愛憎(サリエリによるモーツァルト殺害説は有名)や、悪妻と呼ばれたコンスタンツェはなぜ弟子のジュスマイヤーと浮気していたのか(モーツアルトの息子フランツ・クサヴァーはジュスマイヤーと同じ名前で、実はジュスマイヤーとコンスタンツェの不倫の結果できた子供ではないかという説もある)などが、モーツァルトが女性である事で納得できてしまう、妙な説得力のある作品になっている。
 ただし、史実から離れてしまうラストはちょっと気に入らなかった。ここはモーツァルトは死んだことにして女流作曲家エリーザとしての人生を始めた、でもよかったのではないだろうか。

 福山庸治は雰囲気を出す事にかけては超一流のマンガ家で、例えばモーツァルトは秘密を知ってしまった弟子のペーターに口止め料として新作のセレナーデ(アイネ・クライネ・ナハトムジーク)の楽譜を渡すのだが、この楽譜を見たペーターがこの曲のあまりの美しさに呆然とするシーンなど印象的なシーンがたくさんある。切れ味のあるギャグ、ホラー的表現などの振幅の大きさも魅力である。この作家、最近は作品をあんまり描いていないようで残念だ。
 私が持っているのは3巻で出たモーニングKCコミックスだが、現在は2500円ほどの豪華版で販売されているようだ。
.27 2007 コミック comment0 trackback0

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