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レイモンド・チャンドラー さらば愛しき人よ


 レイモンド・チャンドラーのフィリップ・マーロウシリーズの長編第2弾。チャンドラーの作品の中では「長いお別れ」と並んで最高傑作に推す人も多い。

 マーロウが偶然出会った大男、大鹿マロイ。彼は8年間服役したあと釈放され、愛人のヴェルマを探していたのだ。そのマロイが黒人を殺してしまう事件に遭遇したマーロウは、そこからとんでもない厄介ごとに巻き込まれる破目になる。
 今回もマロイとヴェルマを探すのかと思いきや、リンゼイ・マリオ殺しというなんだか一見関係のない事件が起こり、調べていくうちにこの事件がギャングの大物レアード・ブルネット、さらにはマロイと繋がっていくのだ。
 これは「推理小説」ではない。犯人探しなどほとんど意味がない。誰がヴェルマかはすぐにわかるし、いわゆる「推理小説(ミステリ)」とは考えずに普通の小説と考えて読んだ方が作品の魅力を捉えやすいのではないかと思う。

 相変わらずマーロウの軽口が絶好調だが、チャンドラーの作品は一人称で書かれているので、文中の比喩もすべてマーロウの語りと考えていいわけだ。例えばマロイがうなる様を「食事の後の四匹の虎のよう」と例えたり、給仕の人相の悪さを「25セントで私を撃ち、75セントで私の喉を切り、1ドル50セントで私をコンクリートに詰めて海に捨てそう」と表現する。このチャンドラー一流の比喩を真似して失敗した作家をいくつか見たことがある。例えばある日本人作家は主人公の事務所があるビルが安普請であることをチャンドラー風に書こうとして「マラソンの世界記録なみのスピードで建てられた」と書いた。これは「マラソンの記録」と、「ビルを建てる時間」がかけ離れすぎているのが子供でもわかる(2時間半で建つビルはありえない)ので比喩としては完全な失敗なのだ。こういう誤った表現をする作家の作品を、私は読む気にならない。…って読んだけどね。

 この作品にはマーロウの助手みたいな働きをするアン・リアードンという女性が登場する。このキャラクターは後に書かれた「マーロウ最後の事件(The Pencil)」という短編にも登場する。彼女がマーロウの助手として働くという展開もありえたと思うのだが、残念ながらレギュラーキャラクターにはならなかった。作者はマーロウに一匹狼である事を強いたのだと思う。
 チャンドラーの軽妙なタッチが物語の暗さを一層アイロニカルに見せる独特の傑作で、この後マーロウのシリーズはこのパターンのヴァリエーションを展開していくことになる。

 この作品の映画化作品ではロバート・ミッチャム主演のものを見た。マーロウが老けすぎているが雰囲気のあるいい映画だった。チンピラ役でチラッと若き日のシルヴェスタ・スタローンが出ていた。
.25 2007 ミステリ comment0 trackback0

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