スポンサーサイト

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。
.-- -- スポンサー広告 comment(-) trackback(-)

高柳英子 正しい猫の数え方


 先日読んだムロージェク「所長」を出していた出版社「未知谷」のHPを見ていて気になった猫小説。早速図書館で借りてきた。
 キジ猫マイケルは妹のハンナと一緒に高校の国語教師の家に飼われている。マイケルはマンガの「What’s Michael」のマイケルにそっくりだったのでこんな名前だが、メス猫だ。
 この姉妹猫を中心に近所のノラ猫、飼い猫、そして人々の日常を描いた三部作の第一作である。マイケルとハンナはまず過去を持つ母猫、美鈴さんとその息子のクロチビと知り合う。美鈴さんはクロチビをできれば人間に飼われるようにしたいと思っている。一方マンション猫のベルナルドは外へ出たいと以前から思っていたが、ひょんなことから外出のチャンスを得てマイケルたちと仲良くなる。

 …とまあこんな調子で猫の日常が語られるのだが、いつも飼い主の国語教師の文学談義を聞いているマイケルの知識はハンパではない。その知識は漱石(「吾輩は猫である」)からますむらひろし(「アタゴオルは猫の森」)まで広範である。そのへんの薀蓄をたれる部分が多いせいか、ねこ小説のわりにちょっと読みにくい。後半近所のノラ猫たちの社会が明瞭に描かれてきてからは「綿の国星」を思わせる印象で物語は進む。もっともマイケルは「綿の国星」はあんまり好きではないようだが。
 とにかく猫に関係ありそうな文学から、猫マンガ、アニメに至るまでたくさんの作品の名前が飛び出してくる。それだけでも猫好きはニヤリとしそう。残念ながらポール・ギャリコの「ジェニイ」や、「カモメに飛ぶことを教えた猫」のゾルバは出てこなかったけど。

 本の紹介文にもある「猫は存在が無価値」である、というのは文学的なレトリックとして面白いアイディアだが、それを猫であるマイケルに言わせるのはどうかと思う。「猫」が「無価値」なのは「人間」の視点から見て、ではないのか。
 「駄犬」「駄馬」という言葉はあるが「駄猫」という言葉はない、とマイケルは言うが、それは人が猫に役に立つのを期待していないだけの事で、「役に立たない」=「無価値」という考え方はちょっといただけない気がする。

 全体に、正直特に前半は生硬な感じでやや読みにくかったが、後半は猫らしさも出てきていい感じである。町の魚屋さん魚辰の店じまいセールで盛り上がる中、ラストはちょっと衝撃的で感動的。続編も期待が持てそうだ。

 作者の高柳英子氏については、本にも出版社のHPにも全く情報がないのだが、ネットの情報では1948年福岡生まれ、オットー・シュタイガーの作品などの翻訳を手がけているドイツ文学翻訳家だそうだ。この作品が作家デビュー作である。
 この作品は続編「立派な飼い猫になる方法」「本当の猫好き」との三部作である。
.19 2006 ねこの本 comment0 trackback0

comment

post comment

  • URL
  • comment

  • password
  • secret
  • 管理者にだけ表示を許可する

trackback

trackbackURL:http://piaa0117.blog6.fc2.com/tb.php/423-79b1e8ba

プロフィール

piaa

  • Author:piaa
  • Livedoorへ移転しましたので、そちらでお願いします。
    http://blog.livedoor.jp/piaa0117/

    こちらのブログへのコメントはLivedoorに転載しますが、定期的にチェックしないので相当遅くなることもあります。

ブログナビ

P&M_Blog
 トップページ
  ├ 月別アーカイブ
  |  └ --年--月
  ├ カテゴリー
  |  └ スポンサー広告
  └ スポンサーサイト
P&M_Blog
 トップページ
  ├ 月別アーカイブ
  |  └ 2006年12月
  ├ カテゴリー
  |  └ ねこの本
  └ 高柳英子 正しい猫の数え方

カレンダー

09 | 2017/10 | 11
1 2 3 4 5 6 7
8 9 10 11 12 13 14
15 16 17 18 19 20 21
22 23 24 25 26 27 28
29 30 31 - - - -

月別アーカイブ

カウンター

ブログ内検索

上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。