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スワヴォーミル・ムロージェク 所長


 ムロージェク(またはムロージェック)はポーランドの作家・漫画家。名前すら全く知らなかったが図書館で見つけて面白そうだったので借りてきた。
 220ページ位の本なのだが、そのページ数に68編の短編を収録している。平均約3ページと極めて短い作品が次から次に現れるショート・ショート集である。
 この本は1958年から89年にかけてラジオで放送された素材をもとにまとめられた短編集「マイクに向かってティータイム」からタイトルになっている「所長」ものを抜粋、その後に「所長」もの意外を掲載、それと若干の別の短編を収録したという構成になっている。

 やはり冒頭の「所長」シリーズがインパクト十分。これはソビエトの影響下にあったポーランドでの官僚主義を風刺したもので、主人公「僕」は…いや必ず語り手は「僕」なのだが同一人物とは言い切れない…横暴な上司の「所長」にさんざん振り回される。
 「権威」という作品では暑いので泳ぎに行きたいと言い出した所長が「僕」に自分が裸になるので見張れ、という。「僕」にとって裸になった所長はもはや所長ではない匿名の人物なのだ。そんな裸の所長を見るわけにはいかないので裸の所長に背を向けて見張る。
 しかし所長のズボンが何者かによって盗まれてしまう。所長は「僕」にズボンを脱いで自分によこせ、と言う。だが「僕」は自分が所長の前でズボンを脱げば所長の匿名性と権威が失われる、と指摘して拒否しようとする。
 怒った所長は「僕」のズボンを剥ぎ取ると「僕」の首を絞めるのだった。この内容がたったの3ページで語られる。そのシンプルでスピーディな語り口はまるで落語のようである。

 巻末の短編集「雨」からの4編はもうすこし長い作品を含んでいる。15ページにわたる「私の将軍」は将軍の命を助けた男の悲喜劇を語る、権威主義の恐怖をユーモラスに描いた怪作。

 このような理屈のわからない権威主義があちこちで幅を利かす社会主義国家での日常が風刺と寓意たっぷりに描かれている。かといってどの作品も主人公が卑屈なわけではなく、権威の主に対して反抗的で、「所長」の高圧的な態度を逆手にとって小金をせしめようとしたりする。社会主義下においての庶民のパワーをも感じさせるとても興味深く面白い作品集である。
 その辺のバランスが当時のソビエトとポーランドの空気の違いを感じさせて、この時代のポーランドの庶民の暮らしが、四角四面の社会主義に圧迫されながらも同じ時代のソビエトほど息苦しかったわけでもなさそうである。
 当局に睨まれるのを恐れてにっちもさっちもいかなくなるストルガツキーの作品「モスクワ妄想倶楽部」と比較してみるとよくわかると思う。

 東欧の現代作品に興味のある人はぜひ読んでみるといいと思う。この人の本はもう一冊「鰐の涙」というのもあったので、こっちも読んで見ようと思う。
.07 2006 東欧・ロシア文学 comment0 trackback0

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