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ファトゥ・ディオム 太平洋の海草のように


 著者のファトゥ・ディオムはセネガル出身、フランス在住の女性作家。まだ40歳前の若い作家である。この作品は彼女の初の長編で、ヨーロッパで話題になった作品だそうである。冒頭、サッカーの試合の描写から始まってちょっとびっくり。
 冒頭いきなり2000年のサッカーのヨーロッパ選手権(ユーロ2000)の準決勝イタリア対オランダの描写から始まるこの作品は、フランスへ出て一旗挙げる夢を見ているセネガルの若者達と、すでにフランスに住んでいてそれが現実問題としては難しいことを知っている作者の分身であるヒロインを通して、セネガルと宗主国フランスとの間の問題を浮き彫りにする。

 ヒロインのサリは私生児なので村に居場所がなくフランスへ出て、そこで作家として多少成功している。セネガルの村社会の矛盾も、自由の国のはずのフランスの中にある差別的なものもよくわかっている。だからフランスに出て一旗挙げたい弟のマーディケをフランスに来させたくないし、かといって強硬に反対もできないでいる。
 マーディケらセネガルの若者達はサッカーでフランスに渡ることを夢見る。フランスリーグで活躍する、ディウフのようなセネガルの選手達のようになりたいのだ。彼らにはサッカー以外に何もない。それで芽が出なければ国に戻ってきて村の人々に白い目で見られるのだ。

 様々なエピソードを並べてフランスにおけるセネガル人の立場を描き出して、差別とはどういうことなのかを考えさせる作品である。そして作品中で大きな位置を占めるサッカーの試合の描写が見事。ユーロ2000の準決勝と決勝、そして2002年W杯の大分でのセネガル対スエーデン。どれもTVの前で観た試合である。TVのまえで熱狂するサリやマーディケたちが目の前に浮かぶような描写で、サッカーファンもぜひご一読を。
 ただし訳者はあまりサッカーの知識がなかったようで、当時のオランダ代表ヴィンテルの事をそのまま英語読みして「ウィンター」と書いていたり、PK戦のことを向こうの言い方のまま「ゴールシュート」合戦と書いていたりちょっとちぐはぐなのが残念。
 ペルージャのガウチ会長がイタリア戦で決勝ゴールを挙げた韓国のアン・ジョンファンを首にした事を取り上げてヨーロッパ偏重主義を批判するあたりは痛快。作者は最近フランスのTVでレギュラーの番組を持つほどの人気者で、文学批評の番組だそうだがやはり作品と同じように「歯に衣着せぬ物言いで人気」なのだそうだ。
.29 2006 アジア・アフリカ文学 comment0 trackback0

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