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レフ・トルストイ イワン・イリイチの死/クロイツェル・ソナタ


 トルストイの中篇二作を収めた光文社古典新訳文庫の一冊。トルストイは恥ずかしながら初めて読んだ。ロシア文学というと昔ドストエフスキー(「死の家の記録」だったと思う)を読んであまりの長さ・くどさに辟易してその後敬遠していたのだ。その後ロシア・ソ連文学ではストルガツキーとエフレーモフなどSFは読んでいたが、ロシアの純文学を読むのは25年ぶりくらいだ。
 「イワン・イリイチの死」は130ページほどの中篇。いきなりイワン・イリイチの死を知らされて葬儀に行かなければならなくなるイワンの同僚達のシーンで始まる。第1章はイワンの同僚ピョートルの視線で軽妙に描かれるが、第2章以降はイワンの人生について、うまくいかなかった結婚生活を経て、やがて病を得て死へと追い立てられていく様を語っていく。最後にイワンの見た光は救いなのか、それとも虚無なのか?

 有名な「クロイツェル・ソナタ」は約200ページともう少し長い。こちらは嫉妬に狂って妻を殺害した男の回想談である。
 この男ポズヌィシェフとイワンの共通点は、結婚生活に失敗しているという所である。ふたりとも妻との間に信頼関係が築けず、結果妻との間には争いが絶えない。このためイワンは結婚生活は『極めて複雑で困難な事業』と考えるし、ポズヌィシェフに至っては妻との間のことも含めすべての性的な結びつきを否定しようとまでするのである。
 この「性への疑念」はトルストイの一大テーマなのだそうだ。ポズヌィシェフの考え方は恐ろしくストイックで、言ってしまえば極論の持ち主なのだ。
 ポズヌィシェフは最後に妻が不倫していると思って殺害してしまう。彼が思っているように本当に妻が不倫していたかは結局読者にはわからない。ただ語り終えた彼は嗚咽を漏らしている。彼は妻を愛していたのだ。ただ愛し方を知らなかった、ということなのだろうか。

 …というわけで、どちらもかなり極端な作品と言える。短い作品であってもやはりロシア文学は濃密である。特に「クロイツェル・ソナタ」は読んでいてすごく疲れた。とても私には「戦争と平和」や「アンナ・カレーニナ」なんて読めそうにない。

 この作品のタイトルは妻と(彼の言う)不倫相手のヴァイオリニストがパーティーで演奏するベートーヴェンのヴァイオリン・ソナタ第9番イ長調 「クロイツェル・ソナタ」作品47のことである。
.29 2006 東欧・ロシア文学 comment0 trackback0

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