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ジャンニ・ロダーリ 猫とともに去りぬ


 ジャンニ・ロダーリはイタリアの作家。これまでに児童文学の作家として割と多数の作品が紹介されているらしい。この「猫とともに去りぬ」は今回「光文社古典新訳文庫」の中の一冊として発売されていた作品。この文庫は手垢のついた古典文学を新しい訳で出すというメインコンセプトのようで、第1回発売は「リア王」「カラマーゾフの兄弟」「小さな王子(星の王子さま)」などの名作揃い。それらの古典の巨人にまじってこの作品と言うのはいささか突拍子もない気もするが、未訳の傑作を発掘するというのもこの文庫のコンセプトの一つらしい。価格のリーズナブルさも含め今後期待の文庫だといえるだろう。

 さてこの「猫とともに去りぬ」は、16の掌編からなる短編集で、どの作品もファンタジーと言うか童話のような物語なのだが、どれも少しばかり風刺のスパイスが効きすぎて大人向けの童話と言った風情の作品が並ぶ。家族に疎んじられた老人が猫になることにしてアルジェンティーナ公園へ向かう。猫たちは猫の星座がないことに反発してコロッセオを占拠するし、ヴェネツィアが水没すると聞いたトーダロ氏と家族は魚になったり、イタリアの歌や食べ物といった風物まで描きこんでおおらかな作品である。
 バイクと結婚すると言い張る若者や、ピアノを拳銃代わりに持ち歩くカウボーイなど奇想天外。
「カルちゃん、カルロ、カルちゃん」は「出る杭は打たれる」構図を描いた風刺作。とにかくどの作品もおおらかさと風刺が絶妙のバランスである。さすがイタリアの左翼系新聞に掲載されていた作品だけのことはある。

 さてSF好きとしては「ピサの斜塔をめぐるおかしな出来事」に言及しないわけにはいかない。これは37光年と27センチの彼方、カルパ星からやってきた宇宙人がピサの斜塔を奪おうとする物語である。カルパ星人は勝手に地球の建物や島を売買していて、ピサの斜塔も懸賞に当たったカルパ星人の女性のものだと主張するのだ。これを読んで私は月や火星の土地を勝手に売っているルナエンバシーとかいう会社のことを思い出してしまった。他の天体の土地について勝手に販売してると、いつか地球人がカルパ星人みたいなことをやる日が来るかもしれないな、と苦笑してしまった。

 これはとても面白かった。今後もこんな傑作が読めることを期待して「光文社古典新訳文庫」に注目していこうと思う。
.14 2006 イタリア文学 comment10 trackback3

comment

こんばんは。
こちらからのTBも何度か失敗したんですけど、
時間を置いて改めてやってみたところ、上手くいきました。
やはり相性があるのでしょうか。


どの作品もそれぞれコメントしたくなるくらいに
完成度の高い面白い作品集だったと思います。

記事でコメントされています「ピサの斜塔をめぐるおかしな出来事」なんかは
星新一のショートショートを髣髴とさせてなかなか楽しめました。

自分も古典新訳文庫への期待が高まりました!
2006.09.18 23:53 | URL | ANDRE #mQop/nM. [edit]
これはホントに楽しい本ですよね。
たくさんの人に読んでもらえるといいと思います。
中2の上の娘が読むと言って今日学校に持って行きました。

「光文社古典新訳文庫」では来月発売の
ジュール・シュペルヴィエル 「海に住む少女」になんだか興味を惹かれます。どんな作家か全然知らないけど。

2006.09.19 11:18 | URL | piaa #- [edit]
こんにちは。TBさせていただきます。
確かにこのシリーズ、どうして光文社なの?って言いたくなるくらい志の高いシリーズですね(光文社のエンタメ大好きですので光文社をけなしているわけではないです)。
次は子ども時代の愛読書だった『飛ぶ教室』を”新訳”で読んでみようと思っています。
2006.09.22 12:32 | URL | 迷跡 #- [edit]
ほんとに志の高い企画です。
いい本を出してくれるのならどんな出版社でもOKですけどね!
2006.09.22 20:52 | URL | piaa #- [edit]
piaaさん、こんにちは。
遅ればせながら、TBさせていただきましたー。
piaaさんはSFがお好きなのですね。
「ピサの斜塔をめぐるおかしな出来事」も面白かったですね。
コメントで「星新一のショートショート」と出てますが、確かに!
私は梶尾真治の「地球はプレイン・ヨーグルト」を思い出しました♪
2006.10.14 07:14 | URL | 四季 #Mo0CQuQg [edit]
TBありがとうございます。
「ピサの斜塔をめぐるおかしな出来事」はもっとリアルに考えると、
たとえばアメリカ人あたりが国交のない国の土地を、
「俺達はあんたの国を認めていないんだから」とかいう論理で、
売り買いして所有権を主張するとか、そういうことですよね。
そう考えると、とんでもない話です。

ところで四季さんはブログの更新のペースから見ると、
途方もなく大量の本を、非常に早く読まれているようですね
一体一年で何冊くらい読まれるんでしょうか?
私は今年ずいぶん読んだつもりでしたがそれでもせいぜい50冊くらいです。
速読かなにかマスターされているとか?
2006.10.14 21:52 | URL | piaa #- [edit]
ここ3~4年は、1年に450~500冊ぐらいです。
今年も多分そのぐらいになるんじゃないかと…
速読術はやったことないんですけどね。(笑)
でも読むのは速くても、読み方はあまり深くないので
あまり自慢にもならないです(^^;。
2006.10.15 19:24 | URL | 四季 #Mo0CQuQg [edit]
信じられない・・・
私の10年分じゃないですか
恐れ入りました
でも家の中どうなってるのか興味ありますねえ
それだけの本を買っていらしっやるのなら、
本に埋もれちゃいそうですねえ
2006.10.15 22:43 | URL | piaa #- [edit]
約1年前に読まれておられますが、やっとこの本を読みました。「海に住む少女」と「マダム・エドワルダ」がわたしにはいまひとつだったので、古典新訳文庫の「青」はちょっと合わないかも、という先入観があったのですが、イタリアの作品はどちらも面白いですね。

ロダーリは明るく皮肉っぽくという作風で、接点がないものを結びつけて味付けというのがうまく働いていると思いました。
Piaaさんの記事にあるように、「ピサの斜塔」の話はロダーリの皮肉が実現してしまっている現代社会を思わせました。面白いけど、笑うに笑えないようなことを実際に行っているのは宇宙人ではなくて人間なんですよね。
2007.10.17 15:13 | URL | kmy #GaU3vP2. [edit]
私も「海に住む少女」は苦手でした。
バタイユは「青空」を読んでよく分からなかったので「マダム・エドワルダ」はまだ読んでいません。
なぜか古典新訳文庫の「青」はイタリアとフランスなんですよね。
イタリアとフランスは全然別物だと思うんですけど。

これは明るくて風刺が効いていてすごく好きな本です。
それにしても、もうこれを読んで1年もたつなんて!
2007.10.17 21:45 | URL | piaa #- [edit]

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