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ラフィク・シャミ 空飛ぶ木


 ラフィク・シャミはシリア・ダマスカス出身のアラブ系ドイツ人作家。この「空飛ぶ木」はアラブを舞台にした短編集で、昔話風のスタイルをとっていて、主人公は木だったり、蟻だったりする。そうしながらある時は風刺をまぶして見せ、ある時は社会の矛盾を鋭く突いて見せる。「タマネギ」では暴政に反抗する庶民を、「美しい声のファティマ」では運命に弄ばれる歌姫の悲劇を、「オオカミの皮を着た羊」では見せ掛けの力に己を過信してしまうものの悲劇を、というふうに。

 「黒い羊」と「監視人」は切り口は違うがどちらも差別について描いた作品で、「黒い羊」では白い羊の群れにただ一匹の黒い羊が仲間達に疎んじられ、仲間を守ろうとオオカミに立ち向かい撃退するが、愚かな羊たちはオオカミが凶暴になるだけだと黒い羊を逆恨みするだけである。「監視人」では怪物に毎日10匹のいけにえを差し出せと命令された蟻たちがその10匹を選ぶために働きの悪い者を選び出す監視人を置くことになるが、いつの間にか怪物を恐れているのか監視人を恐れているのかわからなくなる。
 差別と言うものは、人種間だけではなく、そのコミュニティの中にも小さなきっかけではびこって行くのだ。この二つの作品の中に描かれる差別の生まれる理由は、コミュニティが衆愚であるか、背景に強力な恐怖があるかの違いがあるだけだ。この二つの作品は、この作家の差別についての深い洞察を感じさせる。
 「ニンニク」では豪農の三人の息子の運命を描いていかにも「千一夜物語」らしい展開。かと思うと最後の「吸血鬼とニンニクの真実」でいきなり現代のドイツが舞台になる。とてもひねりの効いた作品である。

 全体のイメージとしては現代風にアレンジした「千一夜物語」という感じの作品集である。肩の凝らない短編集として、暑い夜に読むのもいいと思う。
.02 2006 アジア・アフリカ文学 comment0 trackback0

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