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ガルシア・マルケス 十二の遍歴の物語


 コロンビア出身のノーベル賞作家ガルシア・マルケスの十二の作品からなる短編集。わずか7~8ページの作品から長いものでも35ページくらいの、かなり短い作品ばかりが収められている。
 長編の印象が強烈な作家だが、よく考えてみるとこの人の長編小説、たとえば「族長の秋」「予告された殺人の記録」は小さなエピソードを積み上げて作られている。(もちろんそのまとめ方が凡百の作家とは比べ物にならないほどうまいのだが)だから短編集でも、全体から受ける印象は長編とそんなには変わらない。

 この短編集の特色はこの作家の作品の中では珍しく南米ではない国…ヨーロッパが舞台になっているという点が挙げられるだろう。ヨーロッパへ亡命してきた、旅行してきた、そして住んでいる南米人の物語が語られていく。
 冒頭の「大統領閣下、よいお旅を」は亡命した大統領と知り合った救急車の運転手オメーロの交流を描いた作品で、もちろんこの大統領はボリーバルではないし「族長の秋」の独裁者でもない。オメーロと妻ラサラは大統領に貧しい暮らしを助けてもらえるのではないかと期待するが、実は大統領の方こそ文無しでオメーロたちが助けてやらないといけないほどである。
 この作品を皮切りに、なぜか腐敗しない娘の奇跡の遺体を持って列聖に加えられるために骨を折る「聖女」、間違って精神病院に入院させられてしまう女性の悲劇を淡々と描く「『電話をかけに来ただけなの』」、新婚旅行でパリを訪れた若い二人を襲う二重の悲劇を描く「雪の上に落ちたお前の血の跡」など、あるときは不条理で、あるときは不気味で、そして美しいこの作家ならではの世界が繰り広げられる。

 どの作品もとても魅力的で、初めてこの作家の作品を読む人にもお奨めできる一冊である。ただし現在は判切れ。新潮社さんにはこの作品に限らずガルシア・マルケスの作品はすべて…いやバルガス・リョサやカルペンティエールも…一刻も早く文庫化してほしい。

 それにしても、冒頭の「緒言」によるとガルシア・マルケスは全部で64の短編を構想したらしい。その中で取捨選択の末生き残ったのがここで読める12編と言うわけである。レベルが高い物が残ったのは当たり前かもしれないが、他の捨てられた52編も読んでみたかったなあ、と思う。
.01 2006 中・南米文学 comment0 trackback0

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