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三つの『木綿のハンカチーフ』

『木綿のハンカチーフ』というと1975年(そんなに前か!)に太田裕美が歌ってヒットした曲である。
↓写真の『太田裕美―ゴールデンJ-POP THE BEST』に収録

 太田裕美は今で言うとaikoみたいな歌手で、アイドルとフォークの中間のような、ちょっと少女マンガ風の、でも時々鋭い歌を歌う歌手だった。当時太田裕美のファンだった私はレコードも持っていたし、よく聴いた。青春の光と影を、離れ離れになった恋人達の会話/書簡形式で描き出したこの曲は、まだ子供だった私にも青春ってつらそうだなあと思わせるものがあった。

 作詞:松本隆、作曲:筒美京平によるこの歌は四番までありそれぞれの段の前半が男性、後半が女性の言葉になっていて、都会に出た彼と故郷に住む彼女の思いがだんだん食い違って行き、最後には離別に至るというものだ。
 歌詞を掲載しておく。

(1) 恋人よ ぼくは旅立つ
  東へと向かう 列車で
  はなやいだ街で 君への贈りもの
  探す 探すつもりだ
  いいえ あなた 私は
  欲しいものは ないのよ
  ただ都会の絵の具に
  染まらないで 帰って

(2) 恋人よ 半年が過ぎ
  逢えないが 泣かないでくれ
  都会で流行(ハヤリ)の 指輪を送るよ
  君に 君に似合うはずだ
  いいえ 星のダイヤも
  海に眠る 真珠も
  きっと あなたのキスほど
  きらめくはずないもの
  
(3) 恋人よ いまも素顔で
  くち紅も つけないままか
  見間違うような スーツ着たぼくの
  写真 写真を見てくれ
  いいえ 草にねころぶ
  あなたが好きだったの
  でも 木枯らしのビル街
  からだに気をつけてね
  
(4) 恋人よ 君を忘れて
  変わってく ぼくを許して
  毎日愉快に 過ごす街角
  ぼくは ぼくは帰れない
  あなた 最後のわがまま
  贈りものをねだるわ
  ねえ 涙拭く木綿(モメン)の
  ハンカチーフください
  
 歌詞は上に掲げた通りきわめて巧みにできていて、たとえば3番の「草にねころぶ あなたが好きだったの」というくだりだけで聞き手はこの二人が故郷の町で過ごした素晴らしい時間を共有する事ができる。
 今聴くとどこかカントリーミュージック風の素朴なアレンジに太田裕美の可憐な歌が乗るのだが、さすがにアレンジは古い。男女の歌い分けが巧みで悲しい結末をさらりと歌うところが見事だ。

 この曲は数年前に椎名林檎が「歌い手冥利」というアルバムで取り上げていた。

これは正確には椎名林檎と松崎ナオという歌手のデュエット(声質が似ているのでデュエットする意味はあまりなかったような気がするが)によるものである。
 私は椎名林檎という歌手は露悪的で大嫌いなのだが、彼女のこの曲の解釈ははっきりしている。椎名林檎はこの曲を女の立場から捉え、現代の女性らしく、もはや自分にふさわしくなくなった彼を拒絶するのだ。曲の最後のオリジナルにはない「『恋人よ…』『いいえ』」のリフレインが拒絶のイメージを強調する。
 このヴァージョンではこの歌の「彼」が愚か者(いきなりの巻き舌でそれを強調している)で、彼女の事など省みないクズ野郎のように解釈しているのも特徴。この歌手は、はなから「愛」なんて信じていないので、この歌の主人公達に対してもきわめて冷笑的な解釈といえるだろう。
 
 さて先日このブログでも取り上げたバンド「いきものがかり」がニューシングル「HANABI」のC/Wでカヴァーしていると聞いて早速チェックしてみた。

「いきものがかり」はこの曲をとてもストレートに歌う。荒削りで、かなり一本調子に聞こえるかもしれない。歌詞の男女それぞれの部分を歌い分けるつもりもないようだ。
 ところが歌詞の第四段まで来て、「恋人よ 君を忘れて 変わって行く僕を許して…」と、それまでよりわずかにテンポを下げて歌いだすと、彼が、彼女の望んだのとはうらはらに都会に染まって変わってしまった自分を、彼女に対して申し訳なく思っていて、愛がなくなったわけではないが、もはや別離もいたし方なしと考えているのがわかる。
 だから「涙拭く木綿のハンカチーフください」と答える彼女の言葉も、別れの言葉でありながらどこか優しくそして切実に響くのだ。

 この歌の解釈をめぐっては、この歌の「彼女」がわがままだという意見もある。常に彼の提案を否定し続ける彼女は確かにわがままなのかもしれない。また彼の帰りをじっと待っている女性像が気に入らないという人もいる。
 だが、故郷の町に住む彼女が愛しているのは故郷にいた頃の、草に寝転び、きらめくキスをくれた素朴な彼だったのだ。見間違うようなスーツを着て都会の日々を毎日愉快に過ごす男は、少なくとも彼女には必要ないのである。だから「彼の帰りをじっと待っている」というのは読み間違いである。彼女は自分で判断して別れを決めたのだから。
.14 2006 J-POP comment6 trackback0

comment

懐かしいですね。
太田裕美は、その後いきなりジョン・ゾーンとかのニューヨークフリーミュージック界に姿を現したりと、なんとも不思議な活躍をした人ですよね。
きっとまだどこかで歌っているのではないかしら。

私も椎名林檎は嫌いです。ついでにいうと松崎ナオも中古屋に売ってしまいました。
いきものがかりはまだきいたことがありません。
機会があったら聴いてみたいと思います。
2006.06.17 18:04 | URL | manimani #- [edit]
先日太田裕美さんがNHK-FMでDJしているのを耳にしました。
今でも歌手として活動もされているようです。
椎名林檎はなんであんなに人気があるのかよくわかりません。
聞いても気分悪くなるだけだと思うのですが。
私のまわりではaiko好きな人は椎名林檎キライで、林檎好きな人はaiko嫌いなようです。
2006.06.18 20:05 | URL | piaa #- [edit]
あたしは椎名林檎好きです。
ちなみにaikoも好き。
人それぞれでしょ?
椎名林檎は流行に流されずに自分を持ってるとこがとても素敵だとあたしは思う
まぁそれも人それぞれなんですけど。
何か気になったのでコメントしました
2006.06.22 01:58 | URL | ぴ #1QJGyZVU [edit]
「ぴ」さん、コメントありがとうございます
私も、椎名林檎というミュージシャンががきわめてオリジナリティの高い詞と音楽をやっている事はよくわかっています。
ただ、どう考えても誰も彼もが支持するタイプの音楽ではないと思います。
知る人ぞ知るミュージシャンで一部ファンに熱狂的に支持されるのならまだわかりますが、若い人は結構みんな普通に聴いていますよね。
本当にいいと思って聴いていますか?彼女の歌詞の世界に共感しますか?だったらいいのですが・・・
誰かがいいというのでなんとなくカッコいいから聴いてないですか?もしそうならミュージシャンに対してもとても失礼ですよね。
私といえば彼女の歌詞の世界に共感できない。それどころか嫌悪感を覚えるのです。だから「気分が悪くなる」と書いたのですが、でもこれは言い過ぎでした。ファンの方には申し訳ありませんでした。

aikoと椎名林檎についてはあくまで私のまわりの人の話です。
この二人は光と影みたいな位置関係にあると思います。
だから両方好きというのも逆にアリかとも思いました。
2006.06.22 22:13 | URL | piaa #- [edit]
*
なるほどですね★
あたしは椎名林檎という人間のセンスも容姿も歌声もとても好きで、彼女の歌を聴くととても不思議な気分になれるのが好きなんです´`*
ってこんなことまで聞いてないと思いますが;
流行っているから、みんなが聴いているからという理由で音楽を聴く人があたしも好きではないです。
最近ではKKさんとか‥
だからといってその歌手がイヤというわけでもないんですけどね(>_<)
でもあたしの周りに椎名林檎を好きという人がいなくて、それもそれでさみしいです´`
長々と関係ない話になってしまいました↓
2006.06.23 21:11 | URL | ぴ #3VMsGyWQ [edit]
kkさんってあのコカコーラのCMに出てるエロカッコいい大阪弁の歌うたってる人ですか?(笑)
みんなが聴いているから聴いてみようとか、ドラマや映画で使われた曲がよかったからとかいろいろあると思うんですが、どんな入り方でもちゃんと音楽(と詞)に向き合って聴いてあげないといけないですよね。
「ぴ」さんは椎名林檎の描く世界に自分の生活とまるで違う何かを感じてそれを魅力的だと感じていらっしゃるのですね。そういう風に音楽に向き合うのはとても素晴らしい事だと思います。
身近に林檎好きな方が見つかるといいですね。
ではまたヒマな時でも覗いてみてくださいね。お待ちしています。
2006.06.23 22:34 | URL | piaa #- [edit]

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