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惑星ソラリス


СОЛЯРИС 1972年露

アンドレイ・タルコフスキー監督
出演
ドナータス・バニオニス
ナタリア・ボンダルチュク

 謎を秘めた惑星ソラリスの研究施設、ソラリス・ステーションに赴任した心理学者クリス(バニオニス)は、そこで死んだはずの妻ハリー(ボンダルチュク)と再会する…
ポーランドのSF界の重鎮、スタニスワフ・レムの名作を
ソ連の巨匠タルコフスキーが映画化した傑作。

 昨日の記事にも書いたとおり、角川書店の「世界名作シネマ全集」でDVDを入手、LDプレーヤーが壊れて以来久しぶりに観ることができた。

 2時間40分の上映時間を、アメリカ映画にはありえないスローペースで進めていく手法はさすがにタルコフスキー。未来都市を走るバートンの車からの眺めを延々と写すなど、凡人にはどうでもいいと思えるシーンが多く、そこがタルコフスキーのタルコフスキーらしいところなのだが、それでついていけなくなる観客も居るのではないだろうか。クリスがソラリスに到着するまでに50分くらいかかってしまうというのもすごい。

 この映画は、まずキャストが素晴らしい。初めて観た時原作を先に読んでいた私は全く違和感を感じなかった。
 クリスの死んだはずの妻ハリーを演じるナタリア・ボンダルチュクが素晴らしい。撮影当時わずか18歳だったそうだが、堂々たる演技と、そしてなによりその美貌にはもはや言葉すら見つからない。
 レムの原作の設定を生かしながらタルコフスキー節を仕掛けておいてちゃっかり自分の映画にしてしまっているところはさすが。音楽や音の使い方の素晴らしさもこの監督ならでは。
 いまさら私がくどくど述べてもしょうがないが、さまざまなメタファーを感じさせる意味ありげな映像もこの映画の魅力である。

 しかし私はタルコフスキーファンとしてよりレムファンとしての気持ちのほうが強いので、レムがこの映画に対して感じた不満もよくわかる。映画のクリスは科学者としてはどうだろう? サルトリウスに「義務を果たせ」といわれるのもむべなるかな。
 それと、クリスの母。原作に1行の記載もないこの人物が、映画ではきわめて重要で、ハリーを死なせた原因のひとつであることは間違いない。
 最後のほうで熱に浮かされたクリスの夢に母が出てきてハリーは出てこないあたり、母離れできずハリーを苦しめたクリスを暗示している。レムの作品にこんな弱い男は出てこない。
 さらにはあのラストシーン。これはいくつも解釈しようのあるシーンなのだが、クリスがソラリスの作り出したまやかしの故郷に憩いを見出した、と考えると、やはり主人公クリスの性格の弱さが気になる。クリスの父が言うように彼は宇宙飛行に向いていない、ということになる。
 ところで私はあのラストシーンこそこの映画の最大の欠点だと思っている。「ノスタルジア」でも同じことをやっているわけだが、あの映画ではあの幻視が主人公に帰するものであるのが明白なのに対して、「ソラリス」のラストシーンはクリスによる幻視なのか、それともソラリスの海による実体ある形成物なのか不明なので、何通りもの解釈が可能になってしまう。下手をすると怖がらせたいがためのあざとい終わり方に見えてしまう。

 なんだかんだ書いたが、それでもやはりSF映画のベスト作品である。今度観た一番の感想は「もっと長くてもいいんじゃない?」であった。クリスとハリーの心の葛藤がもう少し掘り下げられてもよかったかな、と思った。
.04 2006 映画(欧州・アジア) comment6 trackback1

comment

なるほど~ラストで驚かせてやろうっていうあざとさを感じることもできますね~
そう考えてみると、結構随所に脅かしがありますね、ドアの向こうを人がすっとよぎる、とか、ボールが弾んでころがってくる、とか、小人がドアからちょろっとでてくるとか・・
タルコフスキーともレムとも違うテイストだなと思います。

ところでレムってポーランドの作家だと思ってたんですがチェコなんですか??
2006.03.05 04:47 | URL | manimani #- [edit]
おお~!
なんてアフォなミスだ!
早速訂正します…
2006.03.05 08:00 | URL | piaa #- [edit]
 クルスクでしたっけ?
 私は、試写会に応募して、どこかの名画座みたいところで観ました。
 映画館では、途中で休憩が入ったと思います。
 各シーンの印象は強いのですが、ラストは忘れてしまっています。
 当時は、原作を読まなきゃこの映画分からないだろうななんて生意気なことを思っていました。

 ところで猿の惑星もとても好きな映画です。
 最初にちょっとだけある宇宙飛行士のシーンが好きで、そして、あのラストシーン、ぶっとびました。
 後々、原作者が極端な人種偏見をもっていることを知り、ちょっと
がっかりしましたけど。
   
 
2006.03.05 20:29 | URL | ドッペル #DxrqY65E [edit]
 私は20年ほど前に福岡の名画座で、「ソラリス」と「ストーカー」が併映という恐ろしい2本立てを観ました。あやうくエコノミー症候群になるところでした。

「猿の惑星」今観てます。(今は一緒に観てた娘がお風呂に入ったので休憩中。)ずいぶん久しぶりに観てるのでとても新鮮です。
原作者でフランス人のピエール・ブールは、第二次世界大戦中、マレーシアで、日本軍の捕虜になったそうで、この作品の「猿」=日本人なのだとか。
おなじ猿の間にもオランウータン、チンパンジー、ゴリラと差別があるところが切ないですね。
2006.03.05 23:00 | URL | piaa #- [edit]
TB&コメントありがとうございました。

この映画のラストの「故郷」シーンなのですが、ぼくは、ソラリスの海がつくった幻影なのではないかと思います。ただ、原作にもありましたが、あの海は最後に放射能か何かで退治されているはずで、幻想をつくる能力がなくなったのではないか、それを考えると矛盾を感じます。かなり、謎のあるラストシーンですよね。「ソラリス」以外では、「サクリファイス」「ノスタルジア」「鏡」などが大好きです。

それでは、今後ともよろしくお願いします。

2006.07.23 02:18 | URL | David Gilmour #- [edit]
こちらこそ、よろしくお願いします。
原作では放射能を照射したのではなく、海に対してクリスの脳波を送信し、その後「お客は帰ってこなくなった」とスナウトが言ってます。
お客を再生しなくなったのはソラリスの海が(クリスの気持ちを知ってか知らずか)選択した行動なのです。
だから映画のラストは「海」の行動としては一貫性に欠けていると思うんですよね。
ちなみに私はタルコフスキー映画では「ノスタルジア」が一番好きです。
2006.07.23 22:55 | URL | piaa #- [edit]

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ロシア(旧ソ連)の映像詩人、アンドレイ・タルコフスキー監督が1972年に撮った哲学的SF映画の傑作「惑星ソラリス」(ソ連、165分、原作=スタニスワフ・レム「ソラリスの陽のもとに」)。この映画は、人類と知的生命体であるソラリスの海とのコンタクトを巧みに描き

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