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ロマン・ロラン ピエールとリュース


 最近創刊された「鉄筆文庫」の第一回発売の中の一冊。フランスの作家ロマン・ロランの中編小説だ。本屋さんで見かけて安かったこともあってつい買ってきた。

 ロマン・ロランといえばベートーヴェンをモデルにした大長編小説「ジャン・クリストフ」ばかりが有名。この作品は興味はあるのだがあまりに長いので読んだことはない。で、ロマン・ロランどんなもんだろうという気持ちもあって読んでみたのだが、これは第一次大戦中、ドイツ軍の空襲におびえる1918年のパリを舞台に、若い男女の出会いと愛を描く作品だ。

 軍への招集を半年後に控えた青年ピエールは、地下鉄に乗っているときに空襲に遭い、そのパニックの中に出会った少女リュースに恋をする。上流階級で何不自由なく育ったピエールと母子家庭で苦労しながら生活しているリュースはお互いに惹かれあうが、ピエールの招集の日は刻々と近づいてくる…

 反戦の色が強い恋愛小説。170ページ程度の長さも含めて読みやすそうだと思ったのだが、正直言って、非常に読みにくい。日本語が古臭いのだ。それもそのはず、1958年に角川から出たものをそのまま収めてある。フランス語で書かれたもともとの作品がどうなのか知らないが、50年以上前の翻訳のせいなのか、非常に文章の運びが生硬で、若い男女が主人公なのに地の文はおろか台詞にも若者らしさが全く感じられない。二人の主人公ピエールとリュースが戦時下で重苦しい生活を送っているのは差し引いても、もっと青春の光が感じられるような文章にできそうな気がするのだが。
 作品そのものは、戦争の無為さ、悲惨さを間接的に描き出したなかなか味わい深いものだと思う。唐突で衝撃的なラストには驚かされる。もっと二人の周辺を詳しく描いていたら良かったのにとも思うが、このくらいシンプルなほうがいいのかもしれない。

 この「鉄筆文庫」というのは、株式会社鉄筆という出版社が出しているようだが、巻末の「新版のために」を読むと相当左翼的な考えを持った出版社のようで、そういう出版社が文庫の最初のラインナップに、戦争によって無残に断ち切られる青春を描いたこの作品を選んだのも何となくうなずける気がする。
 ただ、巻末の解説にあるように、「若い人に読んでほしい」という気持ちはよくわかるのだが、正直言ってこの文章では若い人は主人公たちに感情移入できない。もっと思い切った柔らかい翻訳にしなければ。そういう意味ですごく惜しい一冊だった。
.14 2016 フランス文学 comment0 trackback(-)

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