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内田洋子 ミラノの太陽、シチリアの月


 先日読んだ岩合さんの「イタリアの猫」の文庫版のあとがきが素晴らしくて驚いたのだが、これを書いていたのがこの内田洋子さんという人。早速ご本人の著書を手に取ってみた。

 内田洋子さんはイタリア在住のジャーナリストで、エッセイ作家としても「ジーノの家」という作品で日本エッセイストクラブ賞、講談社エッセイ賞を受賞している。
 この「ミラノの太陽、シチリアの月」もエッセイ集で10作が並んでいる。

 さて「エッセイ」(日本語で言えば「随筆」)とは、ウィキペディアによると『筆者の体験や読書などから得た知識をもとに、それに対する感想・思索・思想をまとめた散文』と定義されている。たしかにここで読める作品はそういう意味合いではまさしく「エッセイ」なのだが、実際に読んでみるとこれははてしなく「小説」に近いような気もする。なぜそう思うのかと言われると、内田さんの作品には、もちろんすべて内田さんの一人称で書かれているにもかかわらず、それを書いている内田さん本人の存在が希薄なのだ。見事に物語の聞き手、紡ぎ手として以外の自分の存在を消している。そのうえでこれらの作品はどれもリアルで的確な描写と、美しい文章で綴られていて驚かされる。
 すべての作品がイタリアで出会った人たちのエピソードなのだが、どれも深い、情趣にあふれた物語で素晴らしい。

 10作品どれも心に残るいい作品ばかりだが、私が特に好きなのは『鉄道員オズワルド』だろうか。ラストでは意外なハッピーエンドに心が温かくなるが、こんなことは現代の、特に日本では絶対にありえないことを思ってちょっと寂しくなる。
『六階の足音』は自分が住んでいるアパートの住人達との交流を描いたものだが、温かさと寂寥感のコントラストが鮮やかだ。どの作品も書き出しと結びが完璧で、そういう意味で本当に「傑作」というよりも「名品」と呼びたくなるような、そんな作品が揃っている。文章の美しさという点では須賀敦子さんにも迫るのではないだろうか。そういえば内田さんと須賀さんにはいろいろと共通する部分があると思う。
 『ディアーナが守りたかったもの』とか『ロシア皇女とバレエダンサー』のように対象の人物と何年も付き合ってこなければ書けないような作品も多数ある。内田さんは30年来ずっとイタリアに住んでらっしゃるようなのだが、仕事柄もあろうがたくさんの人と出会い、良い関係を築いてこられたのだろう。

 これは今年一発目で早くもP&Mアウォードのベストワン候補だ。こんな作家の存在をいままで知らなかったとは…。「ジーノの家」とかほかの作品も読んでみなければ。
.02 2016 日本文学 comment0 trackback(-)

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