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グスタフ・マイリンク ゴーレム


 以前書店で見かけてから気になっていた作品。白水Uブックスなのに税別1700円という値段の高さに敬遠していたのだが、先日思い切って買ってしまった。マイリンクはドイツの作家。E・T・Aホフマンの流れを汲む幻想文学の作家である。

 20世紀初頭のプラハ。ゲットーと呼ばれるユダヤ人街に住む「ぼく」はある日謎の男の訪問を受け、仕事を依頼されるのだが、客の帰ったあと、自分がこの客のことばかりか自分のことさえ何も思い出せないことに気づいて愕然とする。その客が33年ごとにこの街に出現するゴーレムではないかと疑う「ぼく」は、自分が「アナタージウス・ペルナート」であることを知る。やがてペルナートは、ユダヤ人商人ヴァッサートゥルムと昔の恋人(?)アンジェリーナとのトラブルに巻き込まれていく…

 これはひとことで言うと『幻想文学』である。タイトルにある「ゴーレム伝説」、ユダヤ教起源の神秘主義思想「カバラ」、タロットカードやギリシャ神話など様々な神秘主義的なものへの言及が多く、物語そのものも夢と現実との境界が曖昧な、なにやら難解で不思議な物語である。これが第一次大戦のさなかにドイツで出版され、大変なベストセラーになったという。その事自体がまた不思議に思えるのだが、読んでみるとそういう神秘主義の知識など全く無くても、単純に十分に面白い小説として読めることもまた間違いない。読者の方で作品に秘められた謎と象徴について詳しく考察したいという方はこの論文に詳しいのでご一読を。
 カフカばりの一種の「迷宮小説」という捉え方もできる。ここで描写されるプラハのゲットーの陰鬱な空気感が絶妙な雰囲気を醸し出している。

 何か書くとすぐネタバレになってしまいそうな作品なので詳しくは書けないが、最終章までくると唖然としてしまう事請け合い。そしてラストでまた唖然と…しかしその『どんでん返し』も、後になってはじめから読み直せば、冒頭ですでにこの最終章が予告されていることに気づくだろう。そういう表面的な「面白さ」と上に引いた論文にあるような深い内容の濃さをあわせ持つ傑作であると言える。
 私自身できるだけ近いうちに再読の機会を持ちたいと考えている。
.18 2015 ドイツ文学 comment0 trackback(-)

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