スポンサーサイト

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。
.-- -- スポンサー広告 comment(-) trackback(-)

完訳 千一夜物語 第11巻


 今年は再読を、ということで毎月一冊以前このブログで取り上げた本を再読しているのだが、先月の「白鯨」でちょっと疲れちゃった。そこで再読はちょっとお休みしてなにか軽いものでも読もうと引っ張り出してきた「千一夜物語」。10巻のレビューが去年9月なので一年ぶりだ。第11巻にはあの有名エピソード「アリ・ババと40人の盗賊」が収録されている。

 この巻も「千一夜」お得意の入れ子構造のものが多い。『バクダードの橋上でアル・ラシードの出会った人たち』は、アル・ラシードが出会った5人の変な行動を取る人からその所以を聞くという体裁で5つの物語が語られるし、『気の毒な不義の子のこみいった物語』も自分が実は料理番の子であったことを知った王様が王位を投げ捨て、別の国の王や狂人たちの話を聞くという、全く同じような体裁である。
 さらに『細君たちの腹黒さ』はその構造にすべてエロ話を組み込んだという強烈なもの。いや~これだけで十分お腹いっぱいな気もする。

 しかしこの巻で一番興味深かったのは『九十九の晒首の下での問答』というかなり剣呑なタイトルの作品だ。これはある国を訪れた王子が、その国の姫を得るために彼女の謎に答えるが、もし正解できなければ処刑されるという物語。この物語自体も、最後には彼の方の謎に答えられなかった姫を得るという結末も、そうプッチーニの歌劇「トゥーランドット」にそっくりな話なのだ。
 そこでこれが元ネタなのかと思って調べてみたら、「トゥーランドット」直接の原作は『ラ・クロワというフランスの作家が1710年〜1712年に出版した『千一日物語』(『千一夜物語』とは別の作品)に含まれる「カラフ王子と中国の王女の物語」(以上ウィキペディアより引用)』という作品なのだそうだ。ただこの作品自体原典が明らかでないので、この「九十九の晒首」と「カラフ王子」が共通の原作を持っていてもなんの不思議もないだろう。

 有名な『アリ・ババと40人の盗賊』は、よく子供向けの本などで紹介される話だが、実は相当残酷な話で、この短い物語の中でなんと41人もの死人が出る。しかもそのうち48名は、この物語の事実上のヒロインである若い奴隷の娘マルジャーナが手にかけるのである。しかもその殺し方も、瓷に隠れた盗賊たちに煮えた油を注ぐという想像するとゾッとするような残虐な手口。しかも生き残った盗賊の棟梁は自ら刺し殺してしまう。いやはや恐ろしいアラブの女。
「千一夜物語」を読んでると、自分の愛する人や主人のためなら平気で人殺しをする女性がよく出てくる。他人の命より自分の愛とか信条のほうが大切だということか。そういうメンタリティだからイスラム過激派などが育つ危険性が強いのだろうか。
 ちなみにこれまで読んだ中でも相当な数の登場人物が殺害されたが、そのうち女性が殺害した数のほうが男性が殺害した数よりも多いのではないだろうか。「正義」のためであるとしても女性にまで殺人を求めるのはどうも抵抗がある。

 ちなみにこの「アリ・ババ」もあの有名な「アラジン」も原典に存在しないそうだ。ということはアラビアン・ナイトをヨーロッパに紹介したフランス人がそれらしい話を創作して入れ込んだ?それが有名になったのならなかなか皮肉な話だ。
.21 2015 世界の民話 comment0 trackback(-)

comment

post comment

  • URL
  • comment

  • password
  • secret
  • 管理者にだけ表示を許可する

プロフィール

piaa

  • Author:piaa
  • Livedoorへ移転しましたので、そちらでお願いします。

    こちらのブログへのコメントはLivedoorに転載しますが、定期的にチェックしないので相当遅くなることもあります。

ブログナビ

P&M_Blog
 トップページ
  ├ 月別アーカイブ
  |  └ --年--月
  ├ カテゴリー
  |  └ スポンサー広告
  └ スポンサーサイト
P&M_Blog
 トップページ
  ├ 月別アーカイブ
  |  └ 2015年10月
  ├ カテゴリー
  |  └ 世界の民話
  └ 完訳 千一夜物語 第11巻

カレンダー

04 | 2017/05 | 06
- 1 2 3 4 5 6
7 8 9 10 11 12 13
14 15 16 17 18 19 20
21 22 23 24 25 26 27
28 29 30 31 - - -

月別アーカイブ

カウンター

ブログ内検索

上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。