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立原えりか 小さな花物語


 これは四季折々の「花」をテーマにした小品が並ぶ立原えりかの連作短編集。それぞれの季節の12種の花のタイトルを冠した3~4ページの作品が48個並んでいる。

 ・・・というとなにかすごく可愛らしい童話集のように聞こえる。確かに全体的な手触りは軽い。中にはこの人の作品らしいぐさっとくるような要素を感じさせる作品も混じっているのだが短い作品ばかりなので、通常のこの人の作品みたいに深刻なところまでは行かない。

 とはいえたとえば「ゆきやなぎ」という作品では、地上に舞い降りてきた雪の精が、美しい青年のまぶたの上に舞い降りる。その幸福の絶頂で溶けることを拒んだ雪の精は地面に落ちて、気がついたらゆきやなぎの花になってしまっていた。ひっそりと咲きながら彼女は、あの幸せな瞬間に消えていたらよかったのだろうかと自問する。
 ゆきやなぎと同じ思いで生きている女性は多いだろう。ありふれた話だとも言える。たった3ページのいわゆる「童話」でありながら、こんな人生の残酷さを、美しく昇華された形で描き出してしまうところがいかにもこの作家らしい。
 他にもあまりにもモテモテなために幸せを逃してしまう女性の人生を皮肉なタッチで描いた「あじさい」、見栄を張ることの虚しさを描いた「うすゆきそう」「けいとう」などで子供たちに道徳を説いて人生の指針を示すのかと思えば、「もみじ」のようなノスタルジー溢れる作品や、ある女性の人生を3ページにぎゅっと圧縮してみせる「もみの木」など、人生の酸いも甘いもこの48作に描きこんでしまった感すらある。作家・立原えりかのエッセンシャルな物が詰まった作品集で、そういう意味では川端康成の「掌の小説」をさえ思わせる、と言ったら言いすぎだろうか。

 巻末にオマケのように4つの短編が置かれている。最後の「雪の日のオルゴール」は貧しい青年と娘の物語。珍しくほっこり暖かい話で、これが巻末に置かれたおかげで、いつもこの作家の作品を読んだ時のような心のザワザワ感は残らず心地よい読後感が残った。
.17 2015 立原えりか comment0 trackback(-)

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