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トーベ・ヤンソン 誠実な詐欺師


 「ムーミン」シリーズで有名なフィンランドの作家トーベ・ヤンソンの長編小説。ヤンソンが児童書以外でどんな作品を書いているのか興味があったので読んでみた。

 考えてみれば、「ムーミン」シリーズって全然一般受けするような作品ではない。シリーズ7冊のなかで明るくて楽しいと言える作品は「魔法のぼうし(楽しいムーミン一家)」くらいだ。ほかの作品は彗星が落ちてくるという世界の終末が迫ったり、洪水で家ごと漂流したり、冬眠してないといけないのに真冬に目が覚めてしまったりとかなり冷っこい設定の作品ばかりだ。
 この作品もそんなヤンソンの作品らしく相当冷っこい。

 計算が得意な女性カトリはイラストレーターとして名声の高いアンナの家に住み込みで働くことになる。カトリはアンナが町の人達に騙され余分な出費を強いられているとして不正を正そうとするが、お人好しのアンナはそんなことよりも人との繋がりの方が大事なのではないかと思っている。そんな二人は相容れないまま、カトリの弟でボート造りにしか興味がないマッツと三人で同居するのだが…というような物語。
 こんなストーリーが、北欧の冬(もちろんほとんど一日中真っ暗)を舞台に淡々と、しかし緊迫感を持って描かれるなんとも言えない作品だ。

 ムーミンとはぜんぜん違う物語のように思えるが、やはり根っこは同じだなあ、と思う。ムーミンでもディスコミュニケーションが重要な問題として何度も登場してきたと思うが、ここでもそれに似た状況がアンナとカトリ、マッツ、それにカトリの犬の四者の間に繰り返される。そしてこれはレジデント(定住する者)とトランジット(旅する者)の違いを物語る物語ではないだろうか。そう考えるとラストの、春になってアンナの家を出て行くカトリ(とその犬)は、春が来てムーミン屋敷を出て行くスナフキンと違いはないのではないだろうか。

 なんにしてもこれは暗い物語だ。ムーミンシリーズの大半の作品同様、読んで楽しい作品ではない。もしムーミンを楽しい童話と捉えている人がいるなら、その人は読むべきではないと思う。
.25 2015 その他欧州文学 comment0 trackback(-)

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