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ザルツブルグ音楽祭2012 / ラ・ボエーム


 ネットで格安のブルーレイ・ソフトを発見したので購入してみた。なんと2000円そこそこである。どうかしたら同じオペラを収録したCDよりも安い。世の中おかしい。

 これは2012年のザルツブルグ音楽祭のライブを収録したもので、ネトレプコのミミ、ベチャワのロドルフォというスターの共演にダニエレ・ガッティ指揮ウィーン・フィルの演奏。音楽的には文句のつけようがない布陣で、実際に素晴らしい演奏なのだが、この舞台はDamiano Michielettoという新進気鋭の演出家によるかなり斬新な演出。「ラ・ボエーム」というとメトでもお馴染みのゼッフィレリ演出がスタンダードで、あまりそのほかの演出の舞台を映像で見たことがないような気がするほどなんだけど、現代的な切り口でどこまで「ラ・ボエーム」を面白く見せてくれるのか非常に興味を持って観た。

 結論から言えば、目からウロコだった。現代に置き換えてクールに演出することで、単純なメロドラマになりがちな、というかメロドラマそのもののこのオペラを、現代の青春群像として見せてくれた。
 舞台は右上がりに傾斜がついており、各幕を通じて巨大な窓枠があって、この窓枠のスケールで言うと登場人物はネズミ位の大きさか。この窓枠、第一幕では閉まっているが第二幕に移行するときに開いて中からパリの地図が出現する。第四幕では空いていて、奥は闇に沈んでいるのだが最後に閉まる。この窓枠のこちら側で全ての芝居が進行するという趣向の舞台である。
 衣装や小道具も非常に凝っていて、特にメインキャストたちの衣装は現代の若者らしいファッションなんだがこれが非常にカラフルでお洒落。第二幕ではカフェ・モミュスに集まる人々や子供たちの衣装の華やかなこと。思い思いの衣装を身につけているふうに見えて実は色彩など非常に細かく計算されていると見た。パルピニョールがスーパーマンもどきだったり、幕切れで子供たちがプレゼントの包みを開けるとプレステⅢだったりと芸が細かい。
laboheme_act2.jpg

 「ラ・ボエーム」は好きなオペラなんだが、従来の演出では納得の行かない点があった。それは第二幕の「ムゼッタのワルツ」からマルチェロがムゼッタと仲直りするまでの流れ。以前の演出ではなんで急に「青春が蘇った」のか全くわからなかったが、今回の演出では、「ムゼッタのワルツ」が最初から最後まで完全にマルチェロのためだけに歌われているのがわかる。だから最初はかたくなだったマルチェロがほだされていくのも、ミミが「彼女はマルチェロに首ったけよ」と言うセリフもああ、さもありなんと思ってしまう。
 第三幕では、道路沿いのサンドウィッチ屋の屋台が舞台。キレて暴れるミミが新鮮。この演出のミミはネトレプコ以外の歌手には演じられそうにない。

 第四幕は、コルリーネの外套の歌のあとふたりきりになったロドルフォとミミの距離感がなんともいえない。普通ならロドルフォはミミに寄り添っているはずなのに、ロドルフォはミミのそばにいなくて、目を覚ましたミミは目でロドルフォを探すのだ。ロドルフォの不器用さが痛ましい。
 幕切れも従来ならロドルフォがミミにすがって幕、というのが普通のパターンだが、ミミに駆け寄ろうとするロドルフォを友人たちが必死に止めて、ロドルフォが呆然と立ち尽くす中、例の窓が閉まり、雨に曇ったガラス窓の向こうに巨大な手が現れて曇ったガラスに指で「MIMI」と大きく書いて、それを手のひらで消すという映像が流れて幕切れになる。
laboheme_act4.jpg
 このラストにはかなり強烈な印象を受けた。全体に感情移入せずに突き放した演出で、それによってこれは単純なお涙頂戴の物語ではなく、普遍的な青春の物語なのだ、という演出家の主張が見えたような気がする。

 ただ、舞台を収録した映像のカメラワークで、第四幕の、ショナールがミミの死に気づく瞬間が写っていないのは痛いミスだと思う。他にも、写っていないところでどんな芝居してたのか気になる部分があった。

 ブルーレイの音楽ソフトって今回初めて買ったんだけど、画質はもちろん、音質もいい。リニアPCM音声は48khz/24bitの、いわゆるハイレゾで収録されていて、高音が伸びてきめの細かい高音質が楽しめる。
 インターナショナル版の輸入盤なので日本語字幕はないが、ロドルフォは映像作家、マルチェッロは絵を描かないし、ショナールはサックス奏者、ロドルフォがミミに買ってあげたのはボンネットではなく帽子というような新しい解釈の演出では下手にコトバの意味が伝わってしまう字幕なんてないほうがいいのかもと思った。どうしてもコトバの意味をチェックしたければ英語字幕あるし。でも韓国語、中国語はあるのに日本語ないというのはちょっと納得いかない気もする。
 ポップ音楽のビデオクリップなんか見てもそうだけど、向こうの人は歌詞に縛られた解釈をしない映像を見せられてもあまり違和感を感じないのかもしれない。
.21 2015 クラシック音楽 comment0 trackback(-)

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