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アリステア・マクラウド 冬の犬


 カナダの作家アリステア・マクラウドは生涯に長編1作と短編16作しか残さなかった。これはそのマクラウドの短編のうち8作を収めたもの。いずれもカナダ東部のケープ・ブレトン島を舞台にした作品である。

 スコットランドからの移民が多いこの地ではゲール語を話す人々が多く住んでいた。マクラウドもそんなスコットランド移民をルーツに持ち、その作品にもそんなルーツの影響が色濃くにじみ出ている。
 作品はいずれもかなり地味で、小さなコミュニティの中での個人的な出来事を描いたもので、正直私の好みのタイプの作品とはとても言えない。ところが実際に読んでみると小さな世界に終止する物語でありながらどこかスケールの大きさが感じられ、さらにどれもこう、グサッとくるものがあって強い印象を残す。遠いカナダの島の人々の暮らしが、なんともノスタルジックで身近に感じられるのは不思議だ。それだけここに描かれている人々の心象風景が普遍的なものだということだろうか。

 「冬の犬」だけは以前アンソロジーの中の一作として読んでいた。良い作品だとは思うが、正直この作品集の中では特に優れた作品とは言えないと思う。
 それよりもゲール語の歌を歌う古老を主人公にした「完璧なる調和」や灯台守の娘として孤島に生まれたひとりの女性の生涯を追った「島」あたりが私の好みに近いが、白眉は「幻影」という作品で、当初は祖父の家に遊びに行った双子の少年アンガスとアレックスが、怪しい婆さんと出会ったりする少年小説の形なのだが、後半の十数ページは少年たちが成人してからの話になり、いつの間にか物語の中心は彼らの祖父マク・アン・アヴィルスについて語ることになる。それがどことなく神話的・伝説的な様相を呈するのだ。
 ほかの収録作品もいずれも秀作揃いで、ぜひほかの作品も読んでみたいと思わせる。

 というわけで期待以上に素晴らしい本だった。ただ新潮クレストブックはやや値段が高いのが残念。
.13 2014 北米文学 comment0 trackback(-)

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