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近藤史恵 サヴァイヴ


 実は7月には読んでたんだけど、最近ブログを書こうというモチベーションがなかなか湧かず、読んでから随分放置してしまった。
 これは「サクリファイス」「エデン」に続く近藤史恵の自転車ロードレース小説の第3弾で、今回は短編集になっている。

 実はこれ、これまでの長編2作よりもいいと思う。それぞれの作品は「サクリファイス」の前日譚だったり、「サクリファイス」と「エデン」の中間の時点での話だったりするので、前2作を読んでないとピンと来ないことは間違いないのだが、それぞれの作品が短編である分シンプルかつ短編小説らしいキレの良さで読ませる非常に良質の作品集だと思う。

 冒頭に置かれた『老ビプネンの腹の中』はこれまでのシリーズの主人公白石誓を主人公に、「エデン」で描かれたツール・ド・フランスの2~3ヶ月前、1896年から行われているというクラシックレース「パリ-ルーベ」を舞台にした作品。急死したレース仲間のエピソードとフィンランド人であるチームメイトのミッコが語る「カレワラ」の中のワイナモイネンのエピソードを絡めて非常に巧みに書かれた作品だ。

 続く『スピードの果て』はかつて誓が所属していた日本のチーム、オッジに所属している伊庭を主人公にした作品。続く『プロトンの中の孤独』『レミング』『ゴールよりももっと遠く』は「サクリファイス」からしても随分時間を遡ってオッジに所属していた赤城を主役にした作品だ。この三作では、「サクリファイス」で中心人物だった石尾がルーキー時代から描かれ、「サクリファイス」へつながる興味深い作品だ。
 普通シリーズもののサイドストーリーとかスピンオフというような作品はクオリティが下がるような気がするが、これに関してはそんなことはない。安心のクオリティだ。単純に文学作品としても優れている。

 最後に置かれた『トゥラーダ』はまた主人公を白石誓に戻して、「エデン」より先、誓がミッコとともにポルトガルに移籍した後の話になる。闘牛(トゥラーダ)を観て調子を崩す誓と、彼のポルトガルでのホストファミリーの息子でやはりロードレーサーのルイスの物語。何とも言えない悲しげなラストが心に残る。

 まあちょっと全体に事件が多すぎるような気はしないでもない。でもプロスポーツの世界では、特にしょっちゅう落車だ、ドーピングだと騒ぎになる自転車ロードレースの世界ではさほど不自然でもないかも知れない。

 誓の次の活躍が早く読みたいなと思うのだが、新作「キアズマ」は全く別の主人公を登場させているらしい。まあシリーズものってどうしてもマンネリ化しちゃうし、特に自転車ロードレースが舞台となると物語自体そんなにヴァリアントが作れない気もするし、これは仕方がないのかな。
.28 2014 日本文学 comment0 trackback(-)

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