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ウジェーヌ・ダビ 北ホテル

hotel_north 001
 時々古本屋さんで、こういう作品を見つけるとついつい読みたくなってしまう。これまでにも『アルト・ハイデルベルグ』とか『風車小屋だより』とか今ではほとんど誰も話題にしないような作品をいくつか取り上げたのだが、この『北ホテル』もそんな「忘れられた作品」の一つだ。
 ウジェーヌ・ダビという作家のことも全く知らなかったが、アンドレ・ジッドの友人で当時はそこそこ人気のある作家だったらしい。この「北ホテル」は映画化もされているのでオールドファンはご覧になった方もいらっしゃるだろう。

 小説としては、エミールとルイーズのルクールブール夫妻が始めた「北ホテル」を舞台に、そこに集まる人々のエピソードを連ねていくという形式のもので、それぞれのエピソードは大体一話完結。
 この「ホテル」というやつが、今で言う「ホテル」とはだいぶ趣が違うことは頭に入れておかなければならない。ここでいう「ホテル」はバーと管理人と清掃サービス付きのアパートみたいなもので、宿泊客(と言うより住民)の定着率が高い。

 とにかくたくさんの登場人物が様々な物語を繰り広げるのだが、例外的にいくつものエピソードを重ねて語られる、ホテルで働く女性ルネが転落していくエピソードが印象的。かなり悲惨な方向へ物語は進んでいくのだが、当時この程度の悲惨はごく当たり前のことだったらしく、作者もエミールやルイーズもルネの運命にさほど同情的ではない。
 他にも登場人物が死んでしまったりするエピソードもあるのだが、そんな場合も通り一遍の同情を示すだけである。
 そういうクールさはやっぱりフランス人だなあと思いながらも、引きこもりの姉妹デルフィーヌとジュリーのエピソードはかなり現代的だし、「ラ・ボエーム」を連想させるミアマルとリュシーのエピソードなどエピソードの振幅が広いのがこの作品の魅力であり、この時代(20世紀初頭)のパリの風物が活写されている点でも興味深い作品ではある。
 ただ作品全体を通じて中心になるようなストーリーがなく、求心力に欠けているのが最大の難点で、これが故に『忘れ去られた』作品になってしまったのだろうと思う。

 とにかく訳が古い。私が読んだのは昭和40年の版だが、内容は昭和29年の版のままなのだろう。読めないような漢字が多用された上に、人物名もルイーズがルヰズという表記になっていて読みにくいことこの上なし。「彼はエキュなのだ」とか少なくとも現代日本人たる我々にはググらないと意味がわからないような表現も。まあこんな地味な作品に新訳とかありえないだろうからこれで読むしかなさそうだが。
.28 2014 フランス文学 comment0 trackback(-)

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