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ゴールズワージー 人生の小春日和


 最近読んだ本や観た映画のレヴューをすっかり怠けているのでちょっとペース上げて書いていかなきゃかなと。
というわけで「林檎の木」ばかりがやたら有名な英国のノーベル賞作家ゴールズワージーの作品「人生の小春日和」を読んでみた。これは100ページほどの中編で、岩波文庫で「りんごの木」と抱き合わせの河野一郎訳で出ている。

 実業家として成功を収めたあと隠居暮らしの老人ジョリオン・フォーサイトは甥の嫁だった若い女性とアイリーンとふとしたきっかけで再会する。アイリーンは甥を捨て別な男性を選んだのだが、その男性が事故死してしまい孤独な生活を強いられていたのだ。そんなアイリーンを気遣ううち、ジョリオンはアイリーンに愛情のようなものを抱き始める。

 というわけで、要するに老いらくの恋を描いたこの作品は、ある意味「林檎の木」とは全く違う方向を向いているように思えるが、実はこの二つの作品に描かれた「恋」は極めて似通った部分がある。
 「林檎の木」のアシャーストは田舎娘ミーガンと恋に落ちるが、彼女が自分と社会的な立場(要するに「身分」)が違うことが気になりだして、やがてミーガンとの約束を反故にして逃げ出してしまう。
 「小春日和」のジョリオンは家族の顔に泥を塗ったともいえるアイリーンを愛してしまうが、その愛の裏付けになるのは自分の巨額の財産である。こう言うと身も蓋もないが、経済的に援助をすることでアイリーンを自分のそばに置こうとしたのである。それでいて甥や娘にアイリーンのことを知られる事は恐れ、どうしたものか思い悩む。
 このふたりの主人公は思考回路が似ている。このふたりには愛情よりも社会的な立場のほうが重要なのだ。さらには「自分の金で一ヶ月でも青春が買えたら」などと発言するどうしようもない俗物ぶりに呆れ返ってしまう。そう思って読むとこの「小春日和」も「林檎の木」に負けず劣らずの最低野郎小説といるかもしれない。
 自分が裏切った夫の叔父であるジョリオンに援助を乞う(いや積極的に乞うていたわけではないが)アイリーンの態度もよく考えてみれば相当厚顔無恥で、アシャーストに去られ他絶望から自ら命を絶ったミーガンの方がよほど理解できる。

 そういうアレな物語を、英国の美しい夏の光のなかに描き出して、なにやらロマンティックで抒情的な美しい作品に仕立ててしまうのがこの作家のタチの悪いところだ。

 ちなみにこの「人生の小春日和」はこの作者の長編小説「フォーサイト家物語」の一部なのだそうだ。全然読みたいとはもわないけど。
.05 2014 英文学 comment0 trackback(-)

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