スポンサーサイト

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。
.-- -- スポンサー広告 comment(-) trackback(-)

梨木香歩 春になったら苺を摘みに


 私は梨木香歩という人は今活動している日本人作家の中で一番優れた作家ではないかと思っているのだが、これはその梨木さんのエッセイ集。
 作者が若い頃英国に留学した時のホームステイ先の女主人・ウェスト夫人との交流を軸にしたものである。

 実はこの作家の傑作「家守綺譚」の続編、「冬虫夏草」というのが昨年末に出てて、今年の初めに読んでしまった。まあ一言で言うとこれは素晴らしい傑作だったのだが、内容からして夏に読んだほうがぴったりくるような気がしてレヴューは棚上げにしたままだ。そんな中で、英国留学中の話と知っていたし、我が家の次女MINMINが英国留学中ということもあってたまたま目についたこの「春になったら苺を摘みに」を買ってきて、読んでみて衝撃を受けた。
 これは速攻レヴュー書かないと!こんな傑作のレヴューを、しかも同じ作家の作品を、二つも溜め込んでおくわけには行かない。

 作家たるもの、ニュートラルな視点を持つ必要があると思う。普段は極右だろうが、カストロ首相のシンパだろうが構わない。作品の中でニュートラルに物事を語れるのであればいい。だがやっぱりなかなかそうはいかない。思想の偏った作家の作品はやっぱり狭量な作品になりがちである。先日亡くなったカストロ首相のシンパだったノーベル賞作家だけは例外だが。
 この「春になったら苺を摘みに」という作品を読んでいて、梨木さんの考え方のニュートラルさには本当に感心してしまう。横暴なナイジェリア人、女性を虐待するアラブ人、アスペルガーのジョン、76歳だが老人ではないモシェ。それぞれに良いところも問題もある。それを『理解できなくても受け入れて』きたウエスト夫人。梨木さんはそんなウエスト夫人の考え方を柔軟に取り込んで、さらに人々の心に寄り添う形での彼女ならではのニュートラルな物の見方を獲得している。
 10ほどのエッセイが収められているのだが、どれも異文化との出会いをさらりと描いていて素敵な作品だ。カナダの列車での話「夜行列車」や珍しく重い話の「それぞれの戦争」が特に印象に残った。 
 文章も流麗で非常に読みやすく、誰が読んでも感銘を受けるであろうエッセイ集だと思う。ぜひ読んでみて欲しい。

 ところで、いま英国に住んでいるMINMINとは時々skypeで話すのだが、英国人は米国人に比べて冷たいそうだ。MINMINは米軍基地の中のハンバーガーショップでバイトをしてたのでついついアメリカ英語が出てしまうのだが、英国の大学講師に「それはアメリカ英語だからやめなさい」と言われるらしい。
 ちなみに彼女はホームステイではなく寮住まいなので、英国人以外の友人がたくさんできてるらしい。彼女のFACEBOOKの「友達」欄は多国籍でカオス状態だ(笑)。寮にはスペイン人が多く金曜日ごとにパーティして大変なのだそうだ。梨木さんとは全然違う留学生活だが、それはそれで彼女の血肉になればいい。たくさんの国の人と接して梨木さんのような広い視点を得てくれたら嬉しいな、と思う。
.31 2014 日本文学 comment0 trackback(-)

comment

post comment

  • URL
  • comment

  • password
  • secret
  • 管理者にだけ表示を許可する

プロフィール

piaa

  • Author:piaa
  • Livedoorへ移転しましたので、そちらでお願いします。

    こちらのブログへのコメントはLivedoorに転載しますが、定期的にチェックしないので相当遅くなることもあります。

ブログナビ

P&M_Blog
 トップページ
  ├ 月別アーカイブ
  |  └ --年--月
  ├ カテゴリー
  |  └ スポンサー広告
  └ スポンサーサイト
P&M_Blog
 トップページ
  ├ 月別アーカイブ
  |  └ 2014年05月
  ├ カテゴリー
  |  └ 日本文学
  └ 梨木香歩 春になったら苺を摘みに

カレンダー

07 | 2017/08 | 09
- - 1 2 3 4 5
6 7 8 9 10 11 12
13 14 15 16 17 18 19
20 21 22 23 24 25 26
27 28 29 30 31 - -

月別アーカイブ

カウンター

ブログ内検索

上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。