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黒蜥蜴


1968年 日本
監督:深作欣二
出演:美輪明宏、木村功、松岡きっこ

WOWOWで放送されたものを録画しておいたものを観た。
現在もソフト化されていない幻の作品である。

 「黒蜥蜴」は江戸川乱歩の小説を三島由紀夫の脚本で舞台化されたものの映画化で、これが二回目の映画化だそうだ。この作品では美輪明宏(当時の芸名は丸山明宏)が演じている。この黒蜥蜴というキャラクター自体が美輪のために書かれたのではないかというくらいのハマリ役である。

 全体を覆う耽美的な雰囲気と、生活感ゼロの割り切った演出でエンターテインメントにこだわった非常にクールな作品だ。詩的な表現を散りばめた独特の台詞回しも新鮮で、当時の日本映画って気合入ってたんだなあと思わせる。
 一方で、犯罪を描いてトリックや推理を楽しむ作品としては本当に穴だらけ。いつ早苗が葉子と入れ替わっていたのか全くわからないし、黒蜥蜴のアジトを制圧した明智の手下はいつどうやってあそこにやってきたのか。そもそも大阪のホテルで部屋を訪ねてきた黒蜥蜴が明智に「12時までご一緒に…」と言った瞬間に犯人確定だろう。
 そんなことは気にせずに黒蜥蜴と明智小五郎の虚々実々の知恵比べを楽しむべき作品なんだろうけど。
 明智小五郎は木村功が演じている。ちょっと舘ひろしみたいな雰囲気でシブ格好いい。黒蜥蜴に狙われるお嬢様をまだ20歳そこそこだった松岡きっこが演じているが、これが超カワイイ。黒蜥蜴ならずとも狙いたくなるよな。おまけに彼女の全裸シーンもあり。あっ、ヨダレが…

 最後の方で黒蜥蜴が剥製にされた男とキスをするシーンがあるのだが、この剥製の男性を演じているのがなんと三島由紀夫。黒蜥蜴は女性の設定だが演じていた美輪は紛れもない男性であるわけで、当時男性同士のキスシーンなどありえず、当然このシーンは物議を醸したらしい。これが原因で現在もソフト化されていないのではないかという説もある。

 ちなみにこれ以前の映画化作品では京マチ子が黒蜥蜴を演じていたのだそうだが、これはミュージカル仕立ての大怪作なのだそうで、いつかぜひそっちも観たい。
.22 2014 映画(日本) comment(-) trackback(-)

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