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中島敦 山月記・李陵

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 昭和17年に33歳の若さで亡くなった中島敦は、その早世ゆえに遺された作品の数は決して多くはない。しかしこの作家はその中の数作だけで永遠に記憶されるだろう。ここに収録されているのはいずれもそんな強烈な作品だ。

 詩作を志しながらその傲慢さ故に虎になり果てた男を描く「山月記」。敵である匈奴に捕らえられた漢の将軍の生涯を、彼を弁護したために宮刑に処せられるという屈辱を味わう司馬遷を絡めて描く「李陵」。孔子の弟子でありながら師の教えに釈然としないものを抱く男の物語、「弟子」、弓の名人になろうと研鑽を重ねた末、弓を引く必要さえなくなってしまう境地に辿り着いた男の生涯を描く「名人伝」

 …どれも凄い小説だ。内容もさる事ながら、その文章の強烈な個性に驚かされる、発表当時でも相当難解だっただろう漢語を容赦なく繰り出して、漫然と読んだらさっぱり意味が掴めなくなる危険性と引き換えに、言葉は一種独特のリズムでうねり出す。もし声に出して読んだらさらに強烈ななにかが文字の間に浮かび上がってきそうだ。
 ほとんどの作品が中国を舞台にした歴史もので、「山月記」は「聊斎志異」によく似たエピソードがあったように思うのだが、ここでは文学的にブラッシュアップされて強烈なイメージが浮かび上がってくる。

 今時全くこれに似たような作品が思い浮かばない。こんな硬質な日本語には全くお目にかかれない。難しい言葉が並ぶが全く難解ではない。そしてこのリズム感ある文章。どうしてこんな文章が書けたのだろう。これは一種の文学的奇跡だ。人生の中で一度は読むべき作品だ。
 なお、中島敦の作品集は各出版社から出ているが「山月記」「李陵」はどれも被り、他の収録作が微妙に違うので注意が必要だ。この集英社文庫版では、ラストに「斗南先生」が収められている。これはほかの収録作とは違い、作者の私小説的な作品で、中島敦という人物のバックボーンを示すという意味でも貴重な作品だと思う。
.27 2014 日本文学 comment2 trackback(-)

comment

piaaさん、こんばんは。
山月記は高校生の時に現代文で習いました。当時ファンだった(汗)先生の授業でした。

たしか虎が月を仰いで吠えて茂みに姿を消す…というラストだったかと思います(違っていたらすみません)。読みにくい文章だったのですが、ここだけは頭の中に映画のワンシーンのように鮮やかに浮かんだのを覚えています。

つまらぬプライドと羞恥心のせいで自分の人生を台無しにしてしまった、と打ち明けるくだりがありましたよね?私はこの物語の彼のような特別な才能はありませんが、良い年の取り方をしたければ、何事も謙虚さは必要だなあと感じています。

懐かしくなって思わずコメントしてしまいました。失礼しました。
2014.02.28 00:07 | URL | ともこ #RyffmAuw [edit]
ともこさん、こんばんわ。遅レスすみません。

「山月記」教科書で読んだという人、多いようですね。
いろんな意味で理屈が通用しない作品なので、授業には向いてないと思うのですが、それだけにこれを教材にして授業をすると、教師の質がモロにわかりそうです。
むつかしい言葉の意味なんか無視してこの簡潔な文章のリズム感を味わわせてくれるような授業なら素晴らしいのですが、そんな授業ができる先生が、そんな授業が許される学校がどのくらいあるんでしょうかねえ。
2014.02.28 23:34 | URL | piaa #- [edit]

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