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イプセン 人形の家


 だいぶ以前に「幽霊」を読んでこっちも読まねばと思い本も早々に確保しておきながらながらなかなか読み出さず、ようやく読んだ。
 私が読んだのは旺文社文庫のハードカヴァー版。昔中学校とかの図書館によく置いてあったやつだ。

 登場人物はわずかに5人。銀行頭取に就任した夫ヘルメルを持つノーラ。しかし彼女は夫が病気だった時に、夫の転地療養の資金として夫には内緒で夫の銀行で働くクロクスタから借金をしていた。しかもノーラは保証人のサインを偽造していたのだ。ヘルメルはそんなことは露知らずそのクロクスタを解雇しようとする。クロクスタはノーラに解雇を撤回させるようメルヘルを説得するようにと迫る。

 これは「女性の自立」について書かれた作品、というのが大方の見方のようだ。当然この作品が発表された頃(1879年)には一般的には「妻は夫の所有物」という価値観の時代だったわけで、そんな時代にこれはとんでもない進歩的な題材だっただろう。当時社交界ではこの作品について話題にすることさえ避けられたというのだが、いまの目で読むと正直なんということもないストーリーである。それどころか、物語前半…というか第三幕の途中までのノーラの呆れるくらいの天真爛漫さがとても鼻につくし、そんな女性がいきなり自立を口にしても説得力がないような気がしないでもない。

 そもそもノーラは事実を知ったメルヘルが自分を罵倒したことから家を出ることを決意するわけだが、彼女はメルヘルがクロクスタの糾弾から全力で守ってくれるのを期待していたわけで、そう考えるとやはり男性の庇護を期待していたのであり、その期待を裏切られたからと言って夫に幻滅するのは少し違うような気がする。
 メルヘルは最初からかなりわがままな男性として描かれており、ノーラを猫可愛がりはするが人間として尊重しているようなふうでもないし、ほかの人々に対してもかなり傲慢な態度をとっている。当初ノーラはそんなメルヘルの言行を全く気にしていない。自分が罵倒されるまでメルヘルの正体を見抜けなかったのであれば、それはノーラの人を見る目がないのだ。

 そういう細かいことを考えてもいいし、考えなくてもいい。どちらにしても相当求心力のあるシナリオで大きなアクションもないのになかなかスリリングで惹き込まれる戯曲である。惜しむらくはランク博士のエピソードが今ひとつ消化不良。これが本筋にもっとうまく絡めばすごい作品だったろうと思う。
.17 2014 その他欧州文学 comment0 trackback(-)

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