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田中光二 エデンの戦士


 田中光二は非常に多作な作家だが、正直言って初期の作品しか読む価値がない。初期の「幻覚の地平線」、「わが赴くは蒼き大地」、「爆発の臨界」あたりは傑作だったが、1979年に発表された「銀河の聖戦士」ではもうすでにマンネリに落ち込んでいてそのあとの作品も上記の初期作品に比べると全く精彩を欠いてしまった。
 この「エデンの戦士」は1976年に発表された、この作家がよかった時代の最後の作品である。

 人類の滅亡から2000年。タケルはハワイでコールドスリープから目覚める。地球の反対側、パリで同じようにして目覚めた少女ノヴァを探して出会うのが彼の使命だ。二人の行く手には2000年の間に宇宙線の影響で変わり果てた地上でお互いを探す壮大な旅が始まる。

 この作品は、実はかなり早い時期にコミック化されていて、真崎守の作画で、少年チャンピオンに連載された。チャンピオンには当時「がきデカ」や「ドカベン」といった人気作品が連載されていたので読まれた記憶のある方も多いのではないだろうか。そのコミック版には一部「わが赴くは蒼き大地」の要素も盛り込まれ、独自展開もあったのでこの原作小説とはかなり異動もある。私も実はこのコミック版を最初に読んだのだが、さすがに原作はコミックに比べれば物語が細かく、タケルとノヴァのそれぞれの冒険もかなりボリュームがある。
 生命科学の発達とその後訪れた文明の崩壊によって野放図に発達した異世界の描写が非常に見事で、タケルが遭遇する鳥人族やアマゾネス、ノヴァが遭遇する一つ目の種族や古代エジプトを模した国家など、SFヒロイック・ファンタジーとしてかなりよく描き込まれた世界が展開する。映像化したらきっと面白いだろうと思う。

 とはいえシビアな目で見れば相当ご都合主義で、二人とも何度もピンチのたびに偶然のめぐり合わせに救われる。そのご都合主義ぶりのせいかストーリーはお手軽さが否めない。「爆発の臨界」の緻密さはもうどこにもない。このへんはもうすでにこの作家の底が割れつつあることを示しているかもしれない。それでもギリギリ楽しんで読めるラインには収まっているだろうか。ちなみにこのあとに書かれた「銀河の聖戦士」を読んで唖然とするほどつまらなかった覚えがある。

 コンスタントに良い作品を提供できる作家こそいい作家なのか、それともたった一作でも名作を残せばいい作家なのか、そこは難しい問題ではあるが、私にとって田中光二は作家にも旬ってものがあるんだなあと痛感させられた作家である。
.14 2014 SF comment0 trackback(-)

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